「乱暴な議論」一転「朗報」…静岡・川勝知事の発言の真意は JRが水「全量戻し」提案 沿線知事は「リニア問題解決に期待」
静岡県 川勝平太知事(12日) 「乱暴な議論だと思いますね」 「検討に値すると申し上げている訳です」 「非常に強い関心があります」 「極めて我々にとっては朗報とも言える訳です」
乱暴な議論だが、検討に値し、朗報でもある。一体、どういうことなのでしょうか。これら川勝知事の発言は、いずれもリニア新幹線のトンネル工事におけるいわゆる『全量戻し』をめぐるJR東海の提案について述べたものです。
山梨県側に流出する水をどう戻すかが焦点
静岡工区では工事の一定期間、トンネル内に湧き出た水が山梨県側に流出するため、その水をどのように戻すかが焦点となっています。 JR東海静岡工事事務所 永長隆昭所長 「静岡県側から山梨県側に流出するトンネルの湧水量につきまして、ちょうど同じ時期にちょうど同じ量の発電のための大井川からの取水について田代ダムで抑制し、結果として大井川に還元する案です」 先月、JRが全量戻しの具体案として新たに提案したのが、大井川上流にあり、 東京電力が発電のため、山梨県側に水を放流している田代ダムを活用する方法です。
工事で流出する水と同じ量の放流を止めることで大井川の水の量を維持する計画で、JRは「東京電力とも協議済み」と説明していましたが…。 川勝知事(先月28日) 「突然、全く関係のない会社が入ってですね、その水をこっちに寄こせと。これは論外であると思う」
「論外」一転「朗報」 その真意は
JRの提案後に開かれた定例会見で、田代ダム活用案を一蹴していた川勝知事。しかし、先週の会見では― 川勝知事 「田代ダムから流している水を本県に戻すことができるという情報ですから、これはもう極めて我々にとっては朗報とも言えるわけです。ですから、これはしっかりと議論をして戻せるものなら戻していただきたい」 一転して提案を歓迎したようにも受け取れますが、そうではないようです。 川勝知事 「これはJR東海のリニアトンネル工事とは別の話です。言ってみれば、海老で鯛を釣る形ですね。しばらくの間、取水制限をして、その間こちらから戻すからトンネルを掘らせろという話ですから。これはトンネル工事とは別個にして議論することもできる問題だと。別次元の問題だと」 Q.JR東海がそういう案を出してきたことに対しては評価されるのか? 検討しても実現の可能性もなく無駄だということなのか? 川勝知事「検討に値すると申し上げているわけです。だけど、これは全量戻しという中身について、実際は全量戻し、つまり、本来の掘削中に出る湧水を全量戻すことができないという意味では敗北宣言ですね。破綻しているということです」 全量戻しの具体案としては受け入れられないとしましたが、リニア工事と切り離して協議することには前向きな姿勢を示しました。 川勝知事 Q.全量戻しの方法として受け入れられないとすれば、(JRは)当然この案は引っ込めると思うが、それでも知事は別個にして考えるべきと? 川勝知事「別次元の話ですね、これは。トンネル工事とは別の話です」 Q.繰り返して恐縮ですが、全量戻しの案でなければJRは検討すらしないのでは? 川勝知事「わかりませんよ。田代ダムに流れている流量をこっちに戻す。自分たちにはそういう力があるということであれば、その力は地域の住民にとって朗報ではないでしょうか」 Q. リニア工事と関係なく東電側から水を戻せるかもしれないと知事は現状をお考えということですね? 川勝知事「今まで戻せないと言っていたものを、戻す可能性があるとJR東海が言われている訳です。ですからJR東海と東京電力の間でどういう話がなされたのか、なぜ突然こんな話が出てきたのか、是非知りたいところです」