マイボトルにソフトドリンク販売 近畿大学経営学部のゼミが試み
東大阪市の近畿大で、学生や教職員らが持参したマイボトルに有料でソフトドリンクを入れる試みが始まっている。企画運営しているのは、経営学部の古殿幸雄教授のゼミ。学内でのペットボトルの使用量削減につなげるほか、本格展開に向けて事業として成り立つかを検証中だ。 東大阪キャンパス7号館の1階には、市民の利用も可能な食堂の出入り口付近にドリンクサーバーやボトル洗浄機、製氷機が並ぶ。スタッフの学生が使い方などの説明やボトルの洗浄をしてくれる。ドリンクはウーロン茶やオレンジジュース、コーラ飲料など7種類。サイズはS、M、L(200ミリリットル~300ミリリットル)の中から選び、1回80円の均一料金だ。 約10年前にサントリーグループと自販機の需要掘り起こしについて考えたのがきっかけ。アンケートで学生の約8割がマイボトルを持っていることを把握。マイボトル洗浄機の開発に携わる象印マホービンとも出合い、2021年12月から、ドリンクサーバーでドリンクを無料提供する実証実験を重ねてきた。 販売に向けて古殿教授を代表取締役とするベンチャー企業を設立し、営業許可も取得した。価格はドリンクの原価や利用のしやすさを考慮してゼミ生が議論して決めた。利用しやすいように、クレジットカードとスマートフォン決済アプリ大手のPayPay(ペイペイ)に対応したほか、20回分の回数券も用意した。 ステンレス製ボトルに炭酸を入れるとふたが開けにくくなる恐れなどがある。先着100人にプラスチック製ボトル(350ミリリットル)をプレゼントするなどして利用を促している。 ゼミが国内で年間に出荷されるペットボトルのデータから試算したところ、1人当たり年間193本、東大阪キャンパスでは約521万本が使われているという。削減を通じて、持続可能な社会へのきっかけにもなると期待している。 当初は夏場の実施を目指していたがずれ込み、11月18日に開始。来年2月4日まで取り組む。古殿教授は「うまくいけば、来春から学内での複数箇所や通年営業での展開ができれば」と期待を込めた。 ゼミ生で3年の新本玲奈さん(21)と大北美月さん(20)は「学内のごみ箱は1時間たつと空のペットボトルが結構捨てられている。便利だけど、少しずつでも減らす意識を持ってもらえたら」と話している。【新宮達】