PK戦を制した近江が初出場初勝利
ニッパツ三ツ沢球技場での2試合目は高校サッカー選手権大会に初出場となる近江高校と5年ぶりの出場となる日大山形が対戦。水色とピンクの鮮やかなパステルカラーのユニフォームが緑のピッチに映えた。 【日程結果】第99回全国高校サッカー選手権 選手権には初出場ながら高校総体の舞台ではすでに2度立った経験を持つ近江高校の選手たちは緊張する様子を見せることなくキックオフと同時にピッチを駆け回る。滋賀県予選では3バックの左を務めながらも、この試合では左WBで起用された那須日夏留が味方とのパス交換からいきなりPKを獲得。これを自らキッカーに名乗りを上げた那須が沈め、8分という早い時間帯に先制点を奪った。そこからもテクニックやコンビネーション、テンポの良いパス回しから2点目を奪いにかかった。しかし、「崩しは悪くなかったが、フィニッシュの質はまだまだ」と前田高孝監督が振り返ったように相手GKを慌てさすようなシュートを打つことはできず、前半を1点のリードで折り返した。 後半に入り、最初の40分をシュート1本に抑えられた日大山形が盛り返す。押し気味にゲームを進めていた46分、ゴール前右でFKを獲得。スポットに大河原陽と佐藤秀吏が立つと、10番が右足で狙う。これが相手GKの意表を突きファーサイドへと吸い込まれ、日大山形がゲームを振り出しに戻した。 そこからは互いに次の1点を目指しリスク管理を保ちながら攻撃に出る。近江は10番でキャプテンの森雄大が個人技から何度かシュートまで持ち込んだが枠を捉えることができず。反対に日大山形も最前線の佐藤や大河原を中心に攻め込むが決定機は作れないまま時計の針は80分を経過。ゲームは1-1のままPK戦へと突入した。 両チームの保護者や関係者が祈るような思いで見つめる中で始まったPK戦では近江高校の1人目のキッカー・冨坂優馬が成功したのに対し、日大山形の1人目のキッカー・佐藤の蹴ったボールは無情にもポストを直撃。その後、両者合わせて7人が蹴ったボールはすべてネットを揺らし、近江高校5人目のキッカー・前山拓海が決めた瞬間、80分間では決着の付かなかった激闘に終止符が打たれた。 試合後、2回戦にコマを進めた近江高校の前田監督は「練習から公式戦を意識させ毎日1本はPKを蹴らせてきた」と明かし、今後については「今日で新しい1歩を踏み出せたと思うし、選手権が終わったときに改めてそう思えるようにするためにも次の試合が大事」と神村学園戦に意欲を見せた。 対して前回出場となった5年前の2014年大会と同じくPK戦での敗退となった日大山形の矢作監督は山形県勢として14年ぶりの勝利を挙げられなかったことに悔しさを滲ませながらも「とにかく無事に試合ができて良かった。大会を運営してくれている実行委員会に感謝したい」とコロナ禍でも試合ができたことにお礼の言葉を述べた。 (文・須賀大輔)