空から薬を配達「ドローン薬局プロジェクト」が愛知で始動 その狙いは?
待ち時間の短縮と遠隔診療の充実など、メリットは多い
運送業界では、荷物の届け先が不在だった場合の再配達対応が大きな問題になっているが、このプロジェクトでは、5~10分という短い時間で薬が届くと予想しているので、こうした心配がない。また、アプリでオーダーするため、薬局の待ち時間と比べても短縮される。 梅田さんも「薬は欲しい時にすぐ飲みたいですよね。熱を冷ましたいとか風邪を治したいとか。そういう時に5~10分後に薬が届くというのは非常に大きなメリットになると思います」と話す。 また、気軽に病院や薬局に行くことができない人や、クリニックからパソコンなどを使った遠隔診療を受けている人も便利だ。「診療は遠隔でできるのに、薬をもらうためだけに薬局に行くのはナンセンスじゃないですか」と梅田さん。遠隔診療だけでなく、ドローン薬局の利用を組み合わせれば、その問題は解消できるというわけだ。
今後の課題と未来の可能性
しかし、ドローン薬局プロジェクトを実現するには、法律の壁がある。現在は、“自動飛行はOKだが飛行中は監視が必要”、“人の頭上を通過してはいけない”“薬剤師による遠隔での服薬指導は、特区申請をしなければならない”などさまざまな制限があり、各薬局でドローン飛行についての許可申請の必要だ。 「法整備の必要な部分について、愛知県庁の担当者と特区申請の話をしています。愛知県をドローン特区にしていただければ、県内どこかのエリアがドローンの物流がOKとなるのです」という。特区認可の目途を2018年としているとし、実現すればプロジェクトは一つ前進することになる。 名古屋市緑区薬剤師会に所属する梅田さんは、法整備されるまで、日本薬剤師会の学会などで他の薬剤師や薬局と交流し、プロジェクトの協力を求めていくそうだ。 「まずは山間部や離島からスタートになりますが、いずれは都市部の運用を目指しています。何百人、何千人、より多くの人に喜んでほしい。救いたいです」と梅田さんと田村さんは語っている。 (編集プロダクション エディマート)