「鬼滅の刃」はノベライズも爆売れ。本を読まない子も夢中に
新型コロナウイルス対策に明け暮れた2020年。明るい話題が少なかった中で、最も注目を浴びたのは「鬼滅の刃」ブームでしょう。 映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が、不滅の大記録と思われていた「千と千尋の神隠し」の興行収入を驚異的な勢いで追い抜いたのも記憶に新しいところです。 映画だけでなく、書籍売り上げでも鬼滅の刃に人気が集中。出版不況と言われて久しいですが、それを吹き飛ばすような勢いで、漫画のみならずノベライズ版(小説化)も大ベストセラーとなっています。
ベスト5に3冊がランクインの快挙
日本出版販売株式会社が発表した2020年間ベストセラー(集計期間:2019年1月24日~2020年11月23日)の総合ランキングによると、5位以内に3冊の鬼滅の刃ノベライズ(原作 吾峠呼世晴/小説 矢島綾)がランクインしています。 1位が初のノベライズ『鬼滅の刃 しあわせの花』、2位が第2弾『鬼滅の刃 片羽の蝶』、また第3弾『鬼滅の刃 風の道しるべ』も4位に入るなど、鬼滅の刃パワーは本の世界をも席巻した形です。 同社が行っている近年の年間ランキングの結果をみても、漫画やアニメのノベライズが総合ランキングトップ10に入ってはいません。それだけ、2020年は鬼滅人気が爆発した年といえるでしょう。 ちなみに、鬼滅の刃の他にベスト5入りしたのは人気ゲーム『あつまれどうぶつの森』の攻略本とコンプリートガイドの2冊。漫画のノベライズ版とゲーム関連本が1位から5位を独占するという結果になりました。
普段は本を読まない子も手に取る
幅広い世代で人気の鬼滅の刃ですが、ノベライズの効果は、普段は本に手を伸ばさない小学生にも及んでいます。 小学4年生になる筆者の子どもの話によると、小学校の朝読タイムに数人のクラスメイトが似たような表紙の本を読んでいることに気がついたといいます。よく見ると鬼滅の刃で、最初は漫画を持ち込んでいると思い驚いたとか。 そのうちの1人が仲良しだったので休み時間に聞いたところ、「鬼滅の刃の小説で、一斉休校の時に親に頼んで買ってもらった」との答え。それで漫画以外に本もあることを知ったのでした。 その後、普段は本を煙たがっているクラスメイトも夢中になって休み時間に鬼滅の刃のノベライズを読んでいる姿を目撃し、再び驚いたそうです。 「漫画のストーリー以外の話は、文字でも先が気になって読んでしまう」と、嬉々として本を読んでいる様子は、今までは想像のつかないことだったとか。 本を読むのは嫌いだけど鬼滅の刃なら抵抗感なく読むことができる、という子が続出する状況を目の当たりにした筆者の子どもは、鬼滅の刃の威力を改めて実感したと話していました。 マンガ、アニメ、映画と、子どもの間で鬼滅の刃人気は凄まじいものがありましたが、小説もその例外ではなかったようです。