星野 源──「うちで踊ろう」悲しみの向こう 歌で手をつなごう
曲は「思いついちゃったし、できちゃったから」とその日のうちにインスタグラムで発表され、大きな反響を呼んだ。 「こうなることは理想として思い描いてましたが、現実的に考えて、知り合いのミュージシャンや自分のバンドメンバーが音を重ねてくれて、僕のファンに届けば十分だろうと思っていたんです。でもあっという間に広がっていって『こんなに!?』って驚きました。インスタを始めてまだ半年くらいしか経っていなかったんですが、フォロワーが一気に70万人も増えたんです。音楽の力ってすごいと勇気をもらいました」 その反響は星野の予想をはるかに超え、ニュース番組でも取り上げられるようになった。 「反響が大きくなるにつれて、投稿がさらに増えていきました。毎日チェックして、『いい音楽だなあ』とか『素敵なダンスだな』とか『おもしろいアイデアだな』とか、ずっと感動していました。海外からの投稿もありましたし、こんな状況でもおもしろいことをやろうという、僕と同じ方向を見ている人たちの存在を強く感じました。感謝の言葉もたくさんもらいましたけど、こっちが元気をもらっていましたね。あの絶望的にも思えた時間に、少しでも楽しめる隙間をつくることができてよかったと思います」 質問を投げかけるとしばらく黙り込んでじっと考え、言葉を選びながら語る。そんな姿に彼の誠実さを感じざるをえない。自粛を余儀なくされた2カ月間はどんなふうに過ごしていたのだろうか。 「ずっと家にいました。料理をしたり。決して得意ではないんですが、レシピ通りにきっちり作れば美味しくなるんだなということを学びました(笑)。後はずっと曲作りですね。ドラマの撮影がなかったので、曲作りに打ち込めたのはよかったかもしれません。結局、仕事ばかりしていたんですが、個人的には楽しく過ごせていました。ただまわりのライブスタッフが食えなくなっちゃうんじゃないかということは心配で、どうしたらいいかとずっと考えていました」