JR東日本がディーゼルハイブリッド式の新型車両を高崎・盛岡エリアに32両導入へ。環境負荷低減と快適性向上を両立
近年注目を集める「ディーゼルハイブリッド式」の採用が目玉
2024年11月21日、JR東日本は高崎・盛岡エリアに、ディーゼルハイブリッドシステムを搭載した新型車両「HB-E220系」を投入すると発表した。営業開始は2025年下期を予定している。 【写真】新型車両「HB-E220系」のほか、従来型のキハ100系・キハ110系も 気動車は、熱機関を動力源として自走可能な動力分散方式の鉄道車両の1種。熱効率に優れたディーゼルエンジンを搭載していることが多く、駆動システムの違いにより3種類に分類できる。 一般的なのは、エンジンの回転力をトルクコンバーターと減速機を通じて動力を伝達する「液体式気動車」で、今回新型車両が投入される線区の現行車両「キハ100系」「キハ110系」もこの方式だ。 また、エンジンで発電機を回してその電力をもとに電車同様主変換装置でモーターを駆動する「電気式気動車」という方式もあり、「GV-E400系」と「GV-E197系」で採用されている。 今回発表された新型車両は、最近注目されつつある「ディーゼルハイブリッド式気動車」と呼ばれる方式で、エンジン発電機と蓄電池という2種類の電力源を持ち、2種類の動力源を組み合わせて動力を伝達するシステムを搭載。 ブレーキ時にはモーターを回生発電機として利用し蓄電池に充電するなど、エネルギーをより有効活用できるのがメリットだ。 エンジンも、排気中の窒素酸化物(NOx)、黒煙などの粒子状物質(PM)を低減するということで、環境への負荷を減らせるという。
従来型気動車との違い
新型車両はステンレス製車体を採用し、1両編成(定員103名)の「HB-E220形」、2両編成(定員243名)の「HB-E221形」および「HB-E222形」から構成される。従来の「キハ100系」、「キハ110系」と比較すると、座席がロングシート仕様になったほか、車体の全長と全高が伸び、定員は減少した。 出入り口は従来の片側2カ所から片側3カ所になり、車いすやベビーカーのためのフリースペース、電動車いす対応の洋式トイレの新設、各車両に防犯カメラと非常通話装置を設置するなど、乗客目線での快適性と安全性が向上している。 2025年下期から八高線(高麗川~高崎間)、東北本線(花巻~盛岡間)、釜石線(花巻~釜石間)で営業運転が開始される予定だ。 【HB-E220系の概要】 <車両形式> HB-E220系 <新造車両数> 32両 <投入予定線区> 高崎エリア:八高線(高麗川~高崎間) 盛岡エリア:東北本線(花巻~盛岡間)、釜石線(花巻~釜石間) <エリアごとの編成> 高崎エリア:2両編成×8本 盛岡エリア:2両編成×6本、1両編成×4本 <営業開始時期> 2025年度下期