“前澤後”のZOZO、日経225不採用で株価下落。業績は好調なのか不調なのか?
国内最大級のファッション通販サイトを展開するZOZO <3092> 。昨年の9月にカリスマ創業者、前澤友作氏が社長を退くとともにヤフーとの資本業務提携を発表して注目を浴びましたが、それに先立つ2019年3月期は上場以来初の前年比減益を記録しています。 「ZOZOの過去10年の株価推移」を見る また今年は、日経平均株価の構成銘柄に採用されるのではないかという予測が飛び交ったものの、期待がはずれて株価が急落。はたして今、ZOZOは好調なのか不調なのか、そして今後の見通しはどうなのでしょうか。
「日経225」への採用に期待が集まったが…
日経平均株価は別名「日経225」とも呼ばれるように、東証1部225銘柄から算出されています。構成銘柄は、売買が活発で流動性が高い銘柄を基本に、業種ごとのバランスを考慮して選ばれます。 そのうちの一つ、ファミリーマートが伊藤忠商事による完全子会社化にともない上場廃止となるため、替わりに採用される銘柄の有力候補にZOZOの名があがっていました。しかし選ばれたのは韓国系ゲーム会社のネクソンで、発表のあった10月22日(木)から26日(月)にかけてZOZOの株価は10%以上も下落しました。 日経平均の入れ替え予想であげられた銘柄が不採用だったとき、業績にかかわらず “失望売り”で株価が下がるのはよくあることです。ZOZOの業績そのものは実のところどうなのか、実態を確認してみましょう。
購入者・出店ショップの増加で売上高の伸びは堅調
ZOZOの主力事業は売上高の89.1%を占めるZOZOTOWN(ゾゾタウン)事業で、そのうち9割が通販サイト「ZOZOTOWN」にテナント出店しているブランドから得る受託販売手数料です。2021年3月期第2四半期末(9月末)の時点で1399のショップ(ブランド数で7989)が出店しています。 同社の直近3年間の事業成績を見ると、売上高は2018年3月期から2020年3月期まで984億円⇒1184億円⇒1255億円と伸び続けていますが、営業利益は327億円⇒257億円⇒279億円と、2019年3月期に上場以来初の減益を記録しています。当期純利益も同様に202億円⇒160億円⇒188億円と19年が前年比マイナスとなっています。 売上高の伸びを支えているのは、認知度の高まりとEC普及を背景とした「年間購入者数」と「出店ショップ数」の増加です。2018年3月期末と2020年3月期末を比較すると、年間購入者数は722万人から827万人(105万人増加)に、出店ショップ数(受託販売のみ)は1105から1332(227店増加)に伸びています。 そうした堅実な業績基盤のうえで売上高を伸ばしているにもかかわらず、なぜ2019年3月期は減益となってしまったのでしょうか。 大きな要因は、スマホで撮影することで採寸ができるボディスーツ「ZOZOSUIT」の無料配布や広告宣伝費、開発コスト、そして同時にデビューしたPB「ZOZO」にまつわる人件費などの増加です。売上高が前年比20.3%増なのに対して販管費が37.2%も伸びたため、利益を圧迫したようです。 続く2020年3月期はZOZOSUITの廃止やPB事業の見直しによって販管費を抑え、利益を改善しました。また、直近の2021年3月期第2四半期(4月~9月累計)では、商品取扱高、売上高ともに前年同期比で16%増加。商品取扱高に対する販管費率も24.5%から23.4%に減少しており、営業利益は133億円から199億円に増加しています。 コロナによる業績悪化が叫ばれるアパレル業界ですが、外出自粛によって消費者の「デジタルシフト」が進み、ZOZOには追い風となっているようです。