厄介な実家の処分 解体費用は100万円単位、更地にしたら固定資産税は4~5倍に
更地にすると固定資産税が上がってしまうという問題もある。住宅1戸につき200平米までの住宅用地なら『住宅用地の特例』という制度により、固定資産税が最大6分の1、都市計画税が最大3分の1まで減額されます。空き家を解体すればこの制度が適用されなくなるため、税金が高くなる。年10万程で済んでいた固定資産税が、年40万~50万円くらいになってしまうのです(※注/固定資産税、都市計画税の税率は自治体によって異なる)」
都心部の不動産なら売りようもあるが、田舎の実家は“負動産”と呼んでもいい状況なのだ。
しかし、手間もお金もかかるからと放置すると、さらに面倒なトラブルを呼び込むことがある。相続手続カウンセラー協会の米田貴虎代表に、実際に起きたトラブル事例を訊いた。
「四国在住の60代男性のケースですが、ある日しばらく放置していた実家を見に行ったら、知らない中年男性が暮らしていたというんです。『所有者なんですけど……』と声をかけようにも、向こうがあまりに堂々としているので怖くなってしまった。関わりたくないし、そもそも資産価値のない家なので、持ち主の男性は“しばらく考えないでいたい”とそのままにしてしまっていました」
※週刊ポスト2022年5月27日号