中村誠治郎&君沢ユウキ&和合真一 『遙かなる時空の中で3 十六夜記』に懸ける想い
2008年の初演以降、長年にわたりファンに愛されている舞台『遙かなる時空の中で』シリーズの最新作、舞台『遙かなる時空の中で3 十六夜記』が2021年1月に上演される。 【写真を見る】インタビューカット(全15枚) 舞台『遙かなる時空の中で3』は、2018年に舞台「遙か」シリーズ10周年記念作品として上演され、好評のうちに幕を下ろした。2020年6月に予定されていた舞台『遙かなる時空の中で3 再縁』は残念ながら上演中止となってしまったが、今回ついに『遙かなる時空の中で3 十六夜記』の舞台化が実現する。 2.5ジゲン!!では、本作に出演する平知盛・銀役の中村誠治郎、梶原景時役の君沢ユウキ、藤原泰衡役の和合真一にインタビューを実施。本作の見どころや2021年の抱負について話を聞いた。
3人の共演が実現、それぞれが抱く作品への想い
――3人は今作で初共演とのことですが、和気あいあいとした雰囲気ですね。 中村誠治郎(平知盛・銀役):プライベートで仲がいいんですよ。僕とわごちゃん(和合)は以前共演したことがあるんですが、それもけっこう前だよね? 和合真一(藤原泰衡役):そうですね、3~4年くらい経っていると思いますね。 君沢ユウキ(梶原景時役):僕も誠さん(中村)ともわごちゃんとも仲いいんですけど、共演はこれが初めてなんですよ。 中村:なんか不思議な感じするよね。 ――初共演というのはすごく意外な気がします。 君沢:ですよね。僕もこの作品が決まってから「あ、そういえば初めてだな」って。だからこの作品でついに共演が叶って嬉しいですね。 ――中村さんはシリーズ初演から出演、君沢さんは出演予定の前作が中止に、そして和合さんは本作で初参加です。それぞれ出演が決まった際の心境をお聞かせください。 君沢:出演予定だった「再縁」は残念ながら上演できなかったんですけど、こうして続編を演じる機会をいただけることは本当にありがたいし、幸せなことだと思っています。原作もとても愛されている作品ですので、お話いただいたときはとても素敵な役で嬉しいなって思ったのをすごく覚えていますね。 今回はストーリー上、裏切り者という立ち位置にはなるんですけど、ただの裏切り者っていうよりも、たくさん大切なものがある中でそれぞれが一番大切なものを選んだ結果、すれ違ってしまった。そんなところを大切に演じられたらなと思っています。 もともと2人の人柄を知っていて大好きなので、稽古に入るのも全然心配していなくて。いよいよ役者の姿で会えるんだなって、今はすごくワクワクしています。 和合:まずは「遙かなる時空の中で」っていうビッグコンテンツの中で、一緒にやらせてもらえるのが嬉しかったですし、作品自体、僕がこの業界に入る前から知っているくらい絶大なネームバリューを持つタイトルなので、最初はそこに関わるっていう嬉しさがありましたね。 ただ、出演が決まった当初は、内容を詳しく存じ上げていなかったので、いろいろ調べたんですが、まず、ファンの方にすごく愛されているなって。プレイしている人はもちろん、プレイしたことない人にも知られているくらい知名度のある作品なので、そこに対してのプレッシャーみたいなものは感じましたね。 藤原泰衡というキャラクターも調べてみたら、非常に人気が高く、野心家でクールな部分もあって。自分と正反対なキャラクターだったので、皆様の期待に応えたいっていうのと同時に、役者としてすごくやりがいがあるなって感じましたね。 こうやって、すごくユニークな顔ぶれが揃っていて……。 中村:わごが一番ユニークだよ。 和合:最高の褒め言葉、ありがとう(笑)。この2人をはじめ、知っている人ばかりなので、楽しい現場になりそうだなっていまから楽しみです。 中村:前作が中止になって、すごく残念な気持ちではあったんですけど、「遙か3」初演のカーテンコールで、「次は十六夜記やりたいです」って言っていたんです。それがまさかこんなに早く叶って、しかも二役もやらせていただけるとは。 シリーズの中でも「十六夜記」って“伝説”みたいな作品で、それがいよいよ舞台化かって思うと感慨深いですし、そこに携わらせてもらえることがすごく幸せですね。 ――舞台「遙か」シリーズは、魅力的なキャラクターたちの胸キュンなシーンが随所に散りばめられている印象です。今作でも期待しているファンは多いのではないでしょうか。 君沢:普段、自分たちの生死や立場を賭けて戦うことってないので、そういったシチュエーションがあるからこそ、日常じゃなかなか言えないような甘いセリフも熱のこもったトーンで言えるんじゃないかなと。 中村:現実離れした世界観だもんね。 君沢:その世界観も作品の大きな魅力だと思うし、キュンとするセリフも際立たせてくれるんじゃないかなと思います。 中村:現実じゃ絶対言えないもん。 和合:まあ、僕は現実でも言いたいなって思うけど。 一同:(笑)。 和合:僕の場合は、大真面目に愛を伝えたとしても、冗談にしか受け取ってもらえないんですけどね。僕自身のキャラクターが邪魔しちゃう。 君沢:絶対笑われそうだよね。 和合:普段から変な口説き文句とか言ったりしているので、なんか軽くなっちゃうんですよ(笑)。でも、普段から愛を伝えるように意識はしているんですよ。 君沢:……今の話、そこが着地点でいいの(笑)? 一同:(笑)。 和合:まずはね、僕自身を読者の皆さんに知ってもらおうかなと。そのほうが役を観てもらったときに没入感が得られるかなって(笑)。 ――舞台上では、いまとはまた違った姿の和合さんが観られることを楽しみにしています! 中村:以前、わごちゃんと共演したときも、しっかり者の役をやっていたよね? 和合:そうなんですよ。誠治郎さんと共演させていただいた作品でも、敵の総大将みたいな役をやらせていただいて、その役もすごく野心家で信念を持った人物だったので、今回の藤原泰衡とも共通する部分が多くて。 藤原泰衡は序盤の言動では伝わりにくいと思うんですけど、ストーリーが進むにつれて彼なりの考えや信念が見えてくると思うので、お客様にはそういうところを酌み取っていただきたいし、酌み取っていただけるように演じていきたいなって思いますね。 中村:ギャップがあっていいよね。 君沢:普段のわごちゃんと藤原泰衡が全然違うから、僕も台本読んでいて「これは格好いいな」って思ったもん。 和合:普段の和合真一を知っている人にほど、この作品を観ていただきたいし、期待していただきたいですね。 ――君沢さんは、本作でついに梶原景時のお披露目となりますね。脚本を読んでみて、いかがでしたか。 君沢:ちょうど昨日の深夜、脚本を読んでいたんですけど、本当に面白くて! 有名な源平ものをベースにしているところに“時をかける”という要素が加わってドラマ感がすごいですし、各キャラクターの設定や魅力もしっかりしていて、本当によくできている完成された作品だなって。 作中ではそれぞれのキャラの決めゼリフやキュンとするセリフが入ってくるんですけど、それが嫌味な感じがなくスッと入ってきたんですよね。緊迫したストーリーの中だからこそ、自然と出てくる言葉っていう感じで、それがすごくいいなって思いました。 景時に関しては、難しい立場のキャラクターですね。それぞれに大切なものがあって、たまたま選んだ大切なものが違ったことで、さっきまで味方だった人と対立してしまったり、その逆もあったり。そういう“切なさ”はすごく大事に演じていきたいなって思いますね。 ゲームで梶原景時役を演じてらっしゃる井上和彦さんには、公私ともにすごくお世話になっていまして。普段、僕自身は元気な人なので、筋肉キャラとか元気なキャラを演じる機会が多いんですが、そういった部分は本作では封印して、原作への敬意を持って景時なりの抜け感や優しさを大切にしていきたいですね。 ――中村さんは今回、一人二役となり銀役が加わりますね。 中村:自分の年齢の約半分の役なんでね。そんなことができるのも舞台ならではだと思うんですが、40歳が20歳を演じることを不安に思っている方もいるんじゃないのかな。「平知盛はしっくりきたけど、銀も誠治郎でいけるのか!?」って。 だけど、そこはしっかり作ってお見せしたいですね。役者としてはせっかくのチャンスなんでね。知盛と銀、見た目は似ていますけど、性格とか全然違うので、そういう一人二役をできるのは役者冥利に尽きることなので、すごく楽しみです。 君ちゃん(君沢)とか、僕の格好いい役って観たことないでしょ? 君沢:いや、本当にそうなんですよ。初めて観たとき、オカマ役だったんですよ。僕がここ何年かで一番笑ったんじゃないかっていうくらい面白い役だった! だからね、今回はもう袖に張り付いて観てやろうと思って(笑)。「おお、芝居やってるな~」って。 和合:ちょっとでもオカマなところ出てきたらどうしよう。処理しきれるかなあ。銀とは主従関係にあるので、僕が「この駄犬が!」って言うしかないかな……。 一同:(笑)。 君沢:もちろんそれは冗談ですけど、普段こんな雰囲気なので、役を通じてしか出せない一面をお互いに見られるんじゃないかなって、楽しみですね。 ――楽しみといえば、本シリーズは殺陣も見応えがありますよね。本作でも殺陣は期待していいでしょうか。 中村:今作も盛り上がると思います。前回は八葉VS平知盛っていう戦いでしたけど、今作はキャラクターも加わって、八葉にもそれぞれ動きがあって、いろんなところで戦いがあるからね。 君沢:僕も立場的にずっと八葉側にいるわけではないので、殺陣を通しての切なさみたいなものもありますし。あと、それぞれいろんな武器を使いますしね、それだけで見応えがあると思います。 和合:僕、陰陽術だからどんな風になるのか、まだ想像がつかないですね。 中村:殺陣稽古の時間、机の前でずっと印を結ぶ練習をしているかもよ(笑)。 君沢:誠さんは一人二役だから、それぞれの殺陣がどう違うのか楽しみですね。 中村:銀は長物で、知盛は二刀流なんだよね。 ――一つの作品で両方の殺陣が観られるというのは、とても贅沢ですね。 中村:なかなかそういう機会ってないですよね。知盛は楽しい舞のような動きの中に狂気をはらんだ感じで、銀は優しく舞うような感じで、それぞれ変えていこうかなって思っています。 ――その違いを舞台上で観られる日を楽しみにしています!