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匿名Twitterで在日コリアン女性を誹謗中傷、男に罰金30万円の略式命令

配信

BuzzFeed Japan

3年半越しの略式命令

法的措置の大きなハードルになったのは、Twitter社が発信者情報の照会になかなか応じなかったことだ。その間もツイートは続き、内容は過激化していった。 ようやく発信者情報が開示されたのは、2017年の8月のこと。その4ヶ月後、崔さんの刑事告訴を受けて捜査をしていた神奈川県警は容疑者の男を特定。自宅に捜索に入り、事情聴取をしたことで、ツイートは止まった。 男は2018年5月、脅迫容疑で書類送検された。ネット上のヘイトスピーチ事案では、初めてのケースとなったが、横浜地検川崎支部は2019年2月、不起訴に。 「無罪放免にしてはならない」(代理人弁護士)と、ツイートの内容が「つきまとい」にあたるとして、神奈川県迷惑行為防止条例違反の疑いで、脅迫罪で不起訴になった当日、刑事告訴していた。 そして、12月27日。ツイートがはじまってから3年半ごしの略式命令に至った。検察側による略式請求では、うち4つのツイートについて、「嫌悪の感情等を充足する目的で投稿をした」としている。 略式命令とは、簡略化された刑事処分手続きだ。罰金が100万円以下の犯罪で、当事者に異議がない場合、正式な刑事裁判にかけずに処分するよう検察官が簡易裁判所に求めた場合、簡裁が書類審査の上で出す。 ただし、命令から14日以内に、被告や検察官が正式な裁判手続きを求めることもできる。

「差別は許されない犯罪」

崔さんは会見で、こう語った。 「犯罪として罰せられるのに、ここまで3年半かかりました。長い長い、3年半でした。ある意味において、私の受けた差別や誹謗中傷は在日コリアンみんなの被害だったと思っています。脅迫罪が不起訴処分になったときには、諦めようとも思いました」 「今回の結果を受けて、他の被害を受けている人たちに後に続いてということは非常に難しい。差別をされて、声をあげることへの二次被害はとても厳しいと、実感をしています。残念ですが、個人の力では限界があります。ネット上には差別発言が溢れています。この被害を一刻もはやく止めるために、被害に法が追いつくことを心から願います」 一方、師岡康子弁護士は会見で「差別が許されない犯罪なんだと明確にされたことは第一歩だと思います。非常に大きな被害を受けていた崔さんの3年半、苦痛と恐怖に耐えた日々が報われたことになるのではないでしょうか」と語った。 また、匿名のツイートに対する刑事罰が下されたことに対し、その抑止力にも期待した。 「(男は)全く面識がない崔さんに対し、在日コリアンへの差別感情だけで娯楽のように痛めつけるツイートをしていた。それは、犯罪として許されない。同じようなことをしている人に対する一定の抑止力にもなるはずです」 「日本には差別を罰する法制度がないため、現行法でなんとかここまできた。とはいえ、ヘイトスピーチを止めるには限界があり、法整備も非常に不十分で、限界があると感じています」

ネット上のヘイトをめぐる課題とは

ヘイトスピーチをめぐっては、2016年に「ヘイトスピーチ解消法」が施行されたが、理念法であるために罰則はない。 また、12月12日には戦前戦後を通じて「差別的言動に刑事罰を科す」初めての事例となる「ヘイト禁止条例」が川崎市で可決した。とはいえ、ネット上のヘイトは罰則の対象外だ。 ネット上の、とりわけ匿名のヘイトや誹謗中傷には、崔さんのように現行法を活用する方法しか、救済されうる途はない。 そのため、専門家らは「インターネット上の人権侵害情報対策法」のモデル案を策定。国会議員との連携しながら、法整備に向けた動きを進めている。国会内でも、超党派で同様の動きが広がりつつあるという。

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