韓国「与党排除」の常設特検、キム・ゴンヒ特検法に対する拒否権迂回は可能か
大統領が任命を拒否したら強制する方法なし 民主党「弾劾訴追理由」みなす
28日に野党主導で国会本会議で可決された「常設特検規則改正案(特別検事候補推薦委員会の構成および運営などに関する規則の一部改正規則案)」は、大統領やその家族を対象とした捜査から与党を排除して特検候補を推薦するとする内容を骨子としている。共に民主党は3度目の「キム・ゴンヒ特検法」が廃案となった場合の代案として、別途に特検法を作らなくても済む「キム・ゴンヒ常設特検」を推進しているが、野党が推薦した常設特検候補の任命を尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に拒否された場合は強制する方法がないことが限界とされる。 現行の特検法では、特検候補推薦委員会は7人で構成され、そのうち4人を国会が推薦することになっている。下位規定である規則では、国会推薦の4人の委員は第1交渉団体(民主党)とその他の交渉団体(国民の力)がそれぞれ2人ずつ推薦することになっているが、今回可決された規則は、大統領とその家族が特検の捜査対象となっている場合には、与党は特検候補推薦委に委員を推薦できないとしている。民主党などの野党が推薦委の過半数の4人を占め、事実上、野党の推薦した人物が特検候補として大統領室に提案される。 民主党はこの改正案に則り、「仁川(インチョン)税関麻薬捜査外圧疑惑」や「三扶土建株価操作疑惑」などを捜査対象とする常設特検を推進する計画だ。別途に特検法を作らなくても国会本会議を通過するだけで特検捜査を決定できる常設特検法によって、尹大統領の再議要求権(拒否権)行使を避けようというわけだ。それに向けた「大統領室による捜査外圧などの権力型不正の真相究明特検要求案(キム・ゴンヒ常設特検案)」は現在、国会法制司法委員会に提出されている。民主党は来月10日に予定されているキム・ゴンヒ特検法の再採決と、「海兵隊員C上等兵殉職事件に関する国政調査」が実現するかどうかを見てから、キム・ゴンヒ常設特検案の本会議での採決と特検候補推薦委の構成を行う、との立場だ。 ただし、尹大統領がこうして推薦された特検を任命しなかった場合は、実際の常設特検による捜査は困難になる。民主党は、そうなった場合は「弾劾訴追理由」になりうるとみている。特検法には「特検捜査が決定された場合、大統領は遅滞なく候補推薦を依頼し、推薦を受けた日から3日以内に特検を任命しなければならない」と明示されているからだ。 オム・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )