『極悪女王』で強烈存在感 40kg増ゆりやん持ち上げた“怪力女秘話” 「今やれって言われたら絶対に無理」
暴飲暴食解禁、夜中にラーメン爆食「つまみは全部揚げ物に」
気合を入れて立つことができたANNAに長与らの反応は上々だった。その場で水着やブーツのサイズを測られた。ただ、ANNAは、実践練習に手応えをつかみながらも自らのパワー不足を痛感。また、ゆりやんの体はさらに重い可能性があった。 「これは私も体重上げないと上手にきれいに持ち上げられないかも」 不安がよぎったANNAは数日後に正式に合格の通知を受けると、1か月で10キロの増量を成し遂げる。 「その日から好きなものを解禁したんですよ。夜9時以降食べないとか炭水化物食べないとかの制限を全部解除して、夜中にラーメン食いまくって酒のつまみは全部揚げ物に変えました」 同時に、リッパーについての情報収集を開始。すでに亡くなっているため、日ごろから親交のあった元女子レスラーのブル中野に相談した。 「『実は私もモンスター・リッパー役で出ることになったんです』と言ったら、すごく喜んでくれて、『モンスター・リッパーのことみんな裏でモンちゃんって呼んでたんだよ。必ず高い声で、“アイムナンバーワン”って叫んでたんだよ』って言われたので、それを実際に使わせていただきました」 台本には他のセリフがあったが、白石和彌監督は快く快諾。「アドリブのセリフも結構あったけど、監督は全部OKしてくれた」。文字通り、リッパーになりきろうと、ANNAは準備を進めた。 そして、いよいよゆりやんを担ぎ上げる日。バックブリーカーには自信が持てるようになっていたが、ゆりやんは40キロの増量を遂げ“リアル・ダンプ松本”に変貌。その姿を見て、「本当にもしかしたらこのシーン無理かもって思ったんですよ」と弱気が顔をもたげた。 「全然バランス取れなくて、何回も何回もゆりやんさんを持ち上げて、4~5人に支えてもらいながら途中で『待って、この技厳しいかも』と思ったんですけど、『ANNAさんならできる』って助監督さんに言われた時にスイッチが入った。ちょっとずらした瞬間にぴたってはまったので、『ゾーンに入りました。ごめんなさい。みんな離れてください』と言って、1人で歩いたら拍手が起こって、もう泣きそうになりました。できたって」 ゆりやんには、「trust me!」(私を信じて)と言い続けた。持ち上げられるほうも怖い。返ってきたのは「ok!」との言葉。「今やれって言われたら絶対に無理。(本物の)試合だったらできていないと思う。役に入り込んで、カメラが回っていたからやれた」。努力した分、達成感は格別なものがあった。