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「ハードルが高い方が燃える」佐藤大樹の新境地。尊敬と信頼のおける久保茂昭監督のもとで作り上げた自信作『小説の神様 君としか描けない物語』への思い

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ナイーブで売れない高校生作家とドSな人気高校生作家が2人で1つの物語を生み出す青春小説『小説の神様』が、「HiGH&LOW」シリーズの久保茂昭監督によって映画化される。売れない小説家・一也役を演じるのは、EXILE/FANTASTICSのパフォーマーとして活躍する一方、『ママレード・ボーイ』や『センセイ君主』、主演映画『4月の君、スピカ。』など、多数の映画やドラマに出演する佐藤大樹。「HiGH&LOW」シリーズに加え、EXILEのMVも手がけてきた久保監督作品の主演に起用された心境を皮切りに、W主演でヒロインを務めた橋本環奈の印象や撮影現場のエピソードなどを聞いた。 【詳細】佐藤大樹さんの撮り下ろし写真 取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / ヨシダヤスシ ◆「プロとはなんだ?」という問いを提示されたような思いがしました。 ーー まず、久保監督作品で主演を務める心境から聞かせてください。 映画『DTC-湯けむり純情篇-from HiGH&LOW』を撮っている現場に久保監督がいらしてくれて、直接オファーしてくださったんです。僕が日本で一番大好きで、一番尊敬している監督さんなので、二つ返事で「是非やらせてください!」ってお答えしました。素直に、これは自分へのご褒美だと思ったくらいでした。 ーー ご褒美というのは? EXILEに入った時に初めて撮っていただいたMVが久保監督だったんです。その時は、僕のことを「赤ちゃんがいる」って言ってたんですけど(笑)、二十歳を超えて、一人でもいろんな現場を経験させてもらう中で、会うたびに「すごく成長したね」「いつか一緒にやりたいね」って言ってくださっていたので、やってきて良かったなって思いました。いち俳優として認めてくれたのかなって。嬉しかったですね。 ーー そのあと、本作の脚本を受け取ってどう感じました? 最初に原作も読ませていただいて、小説ならではの良さもあると思っていたので、どういう形にするんだろうなと思っていたら、文芸部4人、それぞれの視点から章立てて区切った構成になっていたので、見事なアイデアだなと思いましたし、誰もが誰かに感情移入できるような脚本になっているなって思いました。あと、一也のお父さんの言葉で「書き続けなきゃいけない。それが小説家だ」という台詞があるのですが、脚本を読んだ時から、ずっと刺さっていたんです。小説じゃなくても、僕であれば、ダンスパフォーマンスに置き換えられるし、いろんな職業の方に言える言葉だと思うんです。改めて「プロとはなんだ?」という問いを提示されたような思いがしましたし、すごくいい脚本だなって思いました。 ーー 佐藤さんが演じる一也はこれまでにない内向的な役柄になってますよね。 そうですね。こんなに暗い役というか、ずっとテンションが変わらない役というのは初めてですね。もちろん、心の中や些細な表情の変化はありますが、台本を読むだけでは、「暗いな!」って思って(笑)。どちらかというと、今までは佐藤流司くんがやった正樹(文芸部の部長で一也の親友)のような役をやってきたので、自分にとっては新境地だし、芝居力を試される役だな、と。これほどやりがいのある役はないなと思いました。 ーー クランクイン前にはどんな準備をしましたか。 プライベートで交流がある漫画家さんに時間をもらって、漫画の共作や出版社についてのお話を伺いました。そのあと、久保さんと2人で3時間くらい、役について話し合う時間を設けて、意見交換をしながら、それぞれが思う一也像を擦り合わせていく作業をしました。他にも、実際の高校生作家の方の本を調べてもらったり、長編映画では初めての黒髪にトライしたり、一也になるための準備はできるだけしたと思います。 ーー しっかりと役作りをされてから撮影に入られたんですね。ちなみにクランクインのシーンは? 部室から外でキャッキャッしてる野球部を見て、嘲笑うところかな。最初は自分なりにニヤッと笑ったんですけど、久保監督から「もっと世間を軽視してていい」って言われました。表情だけで感情を表現するのが難しくて。「もっと人相悪く、より世間を見下してる方が後半の一也とのコントラストが出るから」っていうアドバイスをいただきました。 ーー ナイーブで内向的な役をやってみてどうでした? 楽しかったですね。普段のアーティスト活動では使わない言葉ばっかりでしたし、それを言えるのはやっぱり役があってこそだから。必要最低限のことしかしないっていう見た目のハードルも高かったんですけど、やっていくうちに楽しくなったし、自分はやっぱりハードルが高い方が燃えるなって思いました。 ーー 逆に自分と似てるなと感じる部分はありましたか。 自分が好きなものを見つけて、その好きになったものに対する執着心や研究心、探究心は自分のダンスに対する思いと似てるなと思いました。表現するのは不器用だけど、きっと小説好きなんだろうなというのは感じ取ることができたし、それは自分とも共通する大きな部分だったと思います。 ーー じゃあ、もし佐藤さんが小説を書くとしたら? 昔から、『金田一少年の事件簿』とか、『古畑任三郎』とか、推理ものドラマが大好きだったので、自分を主役に想定した当て書きで、推理ものや探偵ものの小説を書いてみたいです。 ◆久保茂昭監督のこだわりと遊び心が満載。隠れミッキーならぬ、隠れ久保愛を探してました。 ーー 一也と2人で小説を書く、ヒロイン役の橋本環奈さんの印象はどうでした? シンプルに「そりゃ~世間を虜にするよな」って思いましたね(笑)。クランクインの日、撮影後に文芸部のキャスト4人でご飯に行ったんですけど、打ち解けるスピードが、今まで共演した方の中でダントツで速くて。年下なんですけど、いい意味で遠慮もないし、僕らの懐に飛び込んでくれる。シリアスなシーンも多いのですが、カメラが回ってないところではたくさん喋っていましたし、撮影中はずっと楽しかったです。特に草原の中に二人でいるシーンは、スタッフさんはすごく離れたところにいて、現場では僕ら二人だけの空間がたくさんあったので、いろんなことを話しましたし、物語中盤以降の二人の関係に近くなっていけたなと思います。 ーー そこではどんなお話をしてました? 僕との共演前に、片寄涼太くん(GENERATIONS)と映画『午前0時、キスしに来てよ』で共演されていたので、その時の話だったり、「どうやってお仕事を選んでるの?」とか聞いたり。自分で企画書を読んで決めているみたいで、彼女なりにたくさん考えているんだなっていうことを知って。「そりゃ、売れるわ!」って思いました(笑)。あと、僕たちのライブを観に来てくれた際には「芝居のお仕事とは全然違うよね。キラキラしてるし、私にはできない職業で、すごいなって思う」って、素直に褒めてくれて、嬉しかったですね。 ーー 劇中、強烈なビンタをくらうシーンもあります。あれもご褒美ですか(笑)? あはははは。環奈ちゃん、ちゃんと周りのことを見ていて、気も遣ってくれる人なんですよ。だから、ビンタも最初は遠慮してて。でも、彼女が演じた詩凪(しいな)はドSで、監督もドSだから、「大樹なんか気にせずにバシバシいっていいよ」って言っていて。そのひと言でスイッチが入ったのか、本番はきれいに遠慮なしに来ましたね(笑)。音も大きかったし、決まりすぎて気持ちよかったくらいです。 ーー 観てる方は一也のうじうじっぷりにイライラしているので、あそこでスカッとするんですよね。 監督も「観ている人の気持ちでビンタしてくれ」って言っていました。ただ、台本より一発、多かったんじゃないかなとは思います(笑)。 ーー (笑)。一也にとって詩凪はどんな存在だと言えばいいですか。 自分の心のなかで引っかかっていた引き金を引いてくれた人というのがふさわしいのかなと思います。あと、物語の中で正樹に「詩凪がやってこれたのは、一也、お前が一緒だったからじゃないのか」と言われるのですが、逆もしかりだと僕は思っていて。光のない、暗い人生を歩んでいた一也に、ふと太陽みたいな存在が現れたことで影響されていく。物語の前半で、パソコンを打ちながら、自分の手を日差しと日陰の境目にやっているのですが、それも線になっていて。後から現れる詩凪にどんどん侵食されていく一也を手で表現しています。そういう細かい久保さんの演出も好きですし、一也にとって詩凪はなくてはらない存在で、まさに太陽だったんじゃないかなと思います。 ーー その手のシーンを含め、映像がとても美しく、ギミックも満載です。佐藤さんがお気に入りのシーンはどこですか。 2か所あります。1つは、モノクロの世界からカラーに変わるところ。最初は、「全編、モノクロでいこうと思っている。それくらい攻めた作品でもいいんじゃないか」って監督が言っていて。最終的には、カラーに切り替わる構成になったのですが、二人の心が通じ合う瞬間にカラーになるので、その瞬間はぜひ皆さんにも観て欲しいです。あと、第3章の成瀬秋乃(杏花)の背景やCGの使い方が綺麗。絵コンテを見てはいましたが、出来上がりは想像を超えていて、才能が爆発しているなって思いました。観ながらにやけちゃいましたもん(笑)。それぞれの章ごとにこんなに違いを出せる人なんだって、改めてすごいと思いました。 ーー 尊敬されている久保監督は佐藤さんのアドリブ力を評価されていますよね。「特にカット尻のアドリブが大好き」と言ってますが、本作でも雨で濡れた服を叩きつけるシーンはアドリブだったとお伺いしました。 そうですね。脚本にはト書きもあまりなくて。「あー!!」というセリフだけが書かれていました。クランクインするまでは、実はどうしようか決めてなかったのですが、一也だったら、誰も観てない部屋であれば、濡れた服を投げつけたり、脱げなさにイライラしたり、床を殴ったり、自分で書いた小説を破るくらいするだろうなって思って。あのシーンはテストで生まれたものです。 ーー 他にも何か印象的な出来事はありましたか。 テニスのシーンは難しかったですね。(成瀬役の)杏花ちゃんの想像の中で、僕と環奈ちゃんがダブルスでテニスをするシーンがあって。本当のラリーを作ってもらって、それを僕らが演じているのですが苦戦しました。だから、空き時間はずっと4人でテニスをしていました。環奈ちゃん、すごい負けず嫌いで(笑)。衣装が濡れちゃうので本当は汗をかいちゃいけないんですけど、みんなで汗だくになりながらやっていて。ほんとに青春していましたね。 ーー リアルな高校生の青春ですよね。監督と4人で撮影前に部室を下見に行ったという話を聞きました。 そうですね。本読みはありましが、4人でリハーサルというものをしなかったんです。だから、本番の前日に全員で学校に行って、「それぞれの定位置はどこだろう」というようなことを話したりしました。あの部室、美術もすごいんです。久保さんの作品はいつもそうなのですが、見えないところでのこだわりがすごくて。終始、見えないところへの監督の愛を4人で見つけるというか。隠れミッキーならぬ、隠れ久保愛を全員で探していました。 ーー 部室おしゃれだった。 いちいちお洒落ですよね。ピアノの鍵盤を本棚にしていたり。坂口(涼太郎)さんが登場するシーンで、待合室の何気ない椅子の色1つさえこだわっていて。現場で気づかないんですけど、映像になった時にわかるんですよね。 ーー 部室に「LOVE」「DREAM」「HOPE」と、「LDH」を連想させるような立て看板もありました。 ※「LDH」のHは「HAPPINESS」 あ、気づきました(笑)? 久保監督、いろんな作品でやるんですよ。他の作品でも、過去のEXILEの曲名が壁に描かれていたりして。しかも、僕らが気づくまで、自分からは言ってこないんですよね(笑)。今回も、佐藤流司くんが気づいて。「これ、LDHですよね」って言ったら、「気づいた?」って笑っていて。そういう遊び心というか、ヤンチャな少年心がある方なんです。 ーー 佐藤さんが久保監督の愛を一番感じたのは? 監督は「大樹を一番カッコよく撮る自信がある」って言ってくれたんです(笑)。監督にもいじっていただくのですが、僕、離れ目がコンプレックスでもあるんです。 ーー そこがチャーミングなんじゃないですか。カッコいいけど、愛嬌もあって。 でも、自分では気になってしまって。今作を見ていても、「あ、めちゃくちゃ離れ目だ」って思っちゃう瞬間があったりしました(笑)、久保監督も、カメラマンさんもEXILEのMVを撮ってくださっている方なので、自分がどう撮られるのが好きかを分かってくれていて。長年撮ってくださってる監督とカメラマンの愛はたくさん感じましたし、お二人だからこそ引き出された表情がいっぱいあったなって思います。 ーー 完成した作品を見てどう感じました? もう、間違いなく、代表作になったなって思います。それくらい、僕はこの作品にかけていたんです。クランクインする前にいろんな勉強もしましたし、食事制限もしたので、それがまず、完成して、形になってよかったなと思います。 ◆音楽やダンスで誰かを救えるようなパフォーマンスをすることが僕の目標 ーー いくつか、この物語やセリフにかけた質問をしたいなと思います。一也が詩凪に出会って、モノクロの日々がカラーに色づいたように、佐藤さん自身の人生で生活がパッと色付いたなって感じた瞬間はありますか。 中学3年生までサッカー部だったのですが、高校に入ってから何をしようかなって悩んでいた時に、地元のさいたまスーパーアリーナでEXILEのライブがあって。親に誘われて観に行ったのですが、その時、初めて見たHIROさんのダンスや、 EXILEメンバーのエネルギーに心打たれて。その日に親に、「サッカーじゃなくてダンスをやりたい」と言いました。そこからダンス同好会がある高校を探して、その高校に行くために塾にも通って、EXILEが経営するダンススクールにも入って。その日に全部プランが決まったので、この映画でいう、色付く瞬間は、僕は中3でEXILEのライブを見に行った時です。 ーー 詩凪は一也に「小説は人の心を動かす力がある」と言いますが、佐藤さんはどう感じました? 絶対にあると思います。小説って表現方法の1つだと思うので、僕らだったらライブやダンスですよね。僕自身、進路に悩んでいた時に、ライブを見て、心を動かされているので、表現方法は違えど、小説や音楽、ドラマや映画が人の心を動かすことは間違いない。詩凪の言っていることは正しいと思います。偉大なパワーを持っているコンテンツだと思います。 ーー 音楽の力やダンスの力を疑ったことはない? ないですね。本当に世界を救えると心から思ってやっているので。いつか病気を治せるくらいのパワーを持ちたいと思ってます。ライブを見にきてくれた子が、元気になったりとか、病気が治ったりするくらいのパフォーマンスができるようになりたいというのが僕の目標です。 ーー もう1つ、正樹は一也に「悲しい時、苦しい時、勇気が足りない時に読む本だ」と言うシーンがありますが、佐藤さんにもそういう時に読む本はあります? いいセリフですよね。僕も本ではないですが、EXPG STUDIOに入った当初から「第2のお母さん」って呼んでいるインストラクターさんからいただいた手紙は、今でも自分のダンスノートに挟んであるし、仕事辛いなとか、ダンスがちょっとしんどくなってきたかもなって思う時に取り出して読んでいます。最初、EXILEのオーディションに、僕ビビっちゃって、応募しなかったんです。その時に初めて、いつもすごく応援してくれるその方から「EXILEになるためにダンスをやってるんじゃないの? じゃあ、やめた方がいいんじゃない?」ってきつく怒られたんです。そこから僕も火がついて、オーディションに参加するようになって。僕がEXILEになった瞬間の日本武道館に観に来てくれた時に頂いた手紙なんです。今まで手紙読んで泣いたことなかったんですけど、それを読んだときだけ、信じられないくらい泣いてしまって。だから、正樹にとっての「灰になって春を過ごす」的存在は、そのインストラクターさんからもらった手紙ですね。 ーー 最後に劇場に足を運ぶ方にメッセージもいただけますか。 世の中には華やかな生活を送っている人もいると思いますが、僕は一也みたいなタイプに共感できる人の方が多いと思っていて。この映画を見てる人が一也を応援できるような作品になればいいなと思っていましたし、小説に限らず、自分がこれだと決めたものに対して毎日一生懸命に頑張っている人、それを仕事にしている人には絶対にどこか共通するストーリーになっていると思います。なので、明日からの仕事の活力にしてほしいですし、今まで自分がやってきたこと、もう一回頑張ろうって思えるような、背中を押せる作品だと思います。主人公は暗いですけど(笑)、とてつもなくエネルギーのある作品だと思っているので、いろんな年代の方に観て欲しいなと思います。 (c)2020映画「小説の神様」製作委員会 「ハードルが高い方が燃える」佐藤大樹の新境地。尊敬と信頼のおける久保茂昭監督のもとで作り上げた自信作『小説の神様 君としか描けない物語』への思いは、WHAT's IN? 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