都会派SUVハリアーベースのトヨタ「クルーガーV」がオフロード派向けへ254万円~登場【今日は何の日?11月24日】
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日11月24日は、1997年にデビューして大ヒット中のハリアーの派生車「クルーガーV」が誕生した日だ。クルーガーVは、都会的な雰囲気の高級SUVで人気を集めたハリアーに対して、ボディを大きくしてオフロード色を強めたSUVである。 TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・TOYOTAクルーガーのすべて ■都会派SUVハリアーの派生車クルーガーV トヨタ・クルーガーVの詳しい記事を見る 2000年(平成12)年11月24日、1997年に誕生して都会派高級SUVとして大ヒット中の「ハリアー」のプラットフォームを使ったオフローダーSUV「クルーガーV」がデビューした。クルーガーVは、ハリアーよりひと回り大きいボディとオフローダーらしいダイナミックなスタリングでオフロード色を強めた。 クルーガーVのベースは都会派高級SUVとして大ヒットしたハリアー 1997年に誕生したハリアーは、モノコックボディの流麗なスタイリングと、セダンにも負けない広々した快適な室内空間により高級感をアピール。一方で、最低地上高は185mmを確保し、オフロード走行にも十分対応可能だった。 ハリアーは、高級セダンと4WDのいいとこ取りをした都会派高級SUVとして大ヒット。翌年には米国でレクサス「RX」として発売し、海外でも日本以上に人気を獲得。このハリアー(レクサスRX)の大ヒットが世界中のSUVに大きな影響を与え、ハリアーが起爆剤となって世界中で高級(プレミアム)SUVというジャンルが確立された。 トヨタは、都会的な雰囲気を持つハリアーの成功を受けて、ハリアーとはコンセプトが異なるひと回り大きく、ワイルドな雰囲気のオフローダー色を強めたSUVを計画。ハリアーをベースにした兄弟車的なモデルとして、2000年に誕生したのがクルーガーVだった。 オフロード色を強めたクルーガーV 2000年11月のこの日デビューしたクルーガーVは、ハリアーのプラットフォームを使ってオフロード志向のSUVとしてデビューした。ボディは、ハリアーより全長が110mm長く全高が55mm高い、全体的なスタイリングもオフローダー色を強めた力強いスポーティなイメージを強調した。 大きくなった分、大人5名がゆったり座れる室内空間と十分なラゲッジスペースが確保され、またリアシートは6:4の分割可倒式、さらに120mmの前後スライドも可能とし、ユーティリティの高さも大きな魅力だった。 エンジンは、吸気側のバルブタイミングを変えるVVT-i付の最高出力220ps/最大トルク31kgmを発揮する3.0L V6直4 DOHCと160ps/22.5kgmの2.4L直4 DOHCの2種。駆動方式は、FFとビスカスカップリング付センターデフ式のフルタイム4WDが用意された。 車両価格は、4WDで254万~282万円(2.4L)/284万~312万円(3.0L)。当時の大卒初任給は19.7万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で297万~329万円/332万~364万円に相当する。大ヒットのRAV4やハリアーなど都会派SUVの陰に埋もれた感はあったが、希少なオフローダーとして日本より北米で人気を獲得した。 燃料電池車FCHVや電気式4WDも登場したクルーガーV その後クルーガーVは、独自性の強い先進的なモデルを追加することで商品力強化を図った。 2002年には、クルーガーVをベースにした燃料電池車「FCHV(Fuel Cell Hybrid Vehicle)」を官庁に限定リース販売した。FCHVは、高圧水素タンクを搭載してトヨタが独自に開発した燃料電池スタックで最大90kWの電力を発生。この電力でモーターの最大出力109PS/最大トルク26.5kgmを発生し、最高速度は155km/h、航続距離300kmを達成した。 2003年には、3列シート7名乗りモデルを追加し、カローラ店販売用の兄弟車「クルーガーL」を設定。さらに2005年にはハイブリッド車を追加した。これは、前輪を211psの3.3L V6 DOHCエンジンと167psを発生するフロントモーターで駆動し、後輪をリアモーターで駆動する電気式4WD“E-Four”で、走行状態に応じてFFから4WDまで自動制御するシステムである。 結局、クルーガーV&Lは国内では販売を伸ばせず、2007年に国内市場での販売を終了した。 ・・・・・・・・・ クルーガーは、海外では「ハイランダー」として販売され、3列シートのラージSUVとして特に北米で人気を獲得し、現在も北米だけでなく欧州や中国で好調な販売を続けている。日本では今ひとつだが、海外では人気モデルという、よくあるモデルなのだ。 毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。
竹村 純