2021年4月改正の労働者派遣法。働き方にどんな影響がある?
2021年4月から一部改正された労働者派遣法が施行されます。そこで、今回の改正が働き方にどう影響するのか見ていきます。派遣労働者として働く方は確実に押さえておきたい内容です。
2021年4月の改正内容は大きく分けて2点
2021年4月から施行される労働者派遣法の改正内容は、大きく分けて2点あります。 ■雇用安定措置について意見聴取と派遣元管理台帳への記載が必須化 派遣元となる派遣会社は、雇用安定措置を講ずる際には派遣労働者の希望する措置の内容を聞くことが必要とされていましたが、今回の改正においては、その意見聴取の結果を派遣元管理台帳に記載することが必須となりました。雇用安定措置とは、次の4つの措置をいいます。 (1)派遣先への直接雇用の依頼 (2)新たな就業機会(派遣先)の提供 (3)派遣元事業主において無期雇用 (4)その他安定した雇用の継続が確実に図られると認められる措置 雇用安定措置は同一の派遣先、同一の組織単位に継続して3年以上の派遣が見込まれる派遣労働者に対しては実施が義務とされ、1年以上の派遣が見込まれる派遣労働者に対しては努力義務となっています(60歳以上など例外を除く)。 なお、これまで雇用安定措置は3年以上の派遣が認められる方には(1)の直接雇用の依頼が原則であり、直接雇用に至らない場合には(2)から(4)のいずれかの実施、1年以上の方には(2)から(4)のいずれかの実施の努力義務とされていた点に変更はありません。 今回の改正で、雇用の安定措置について派遣労働者個別の意見が従来よりも派遣会社に伝わりやすくなり、派遣労働者の安定雇用とキャリアアップにつながることが期待されます。 ■マージン率などについてインターネット開示の原則化 今回の改正のもう1つのポイントとして、派遣会社は派遣労働者や関係者に対し、マージン率など情報提供すべきと定められている一定の情報について、インターネットなど適切な方法で周知することになりました。特にマージン率(派遣先が支払う料金と、派遣労働者が受け取る賃金の差額の割合)については、常時インターネット上で情報提供することが原則化されています。 派遣会社によっては派遣労働者が知りたいと思う情報が適切に提供されていないこともありましたが、今回の改正で必要な情報が派遣労働者へ行き渡るようになり、自分に合った派遣会社を選びやすくなるでしょう。ちなみに情報提供すべきと定められている一定の情報とは、下記のとおりです。 (1)派遣労働者の数 (2)派遣先の数 (3)派遣料金の平均額 (4)派遣労働者の賃金の平均額 (5)マージン率 (6)労使協定を締結しているか否かの別等 (7)派遣労働者のキャリア形成支援制度に関する事項