「この人、話しやすいな」コミュニケーションが上手な人に共通する、相手との“絶妙な距離感”の正体
「コミュニケーションが苦手な人」の正体は…?
“コミュ障”という言葉が一般的になるなど、現代日本では自分のコミュニケーション能力に自信がない人が増えてきているように感じます。 【あわせて読みたい】「第一印象は1秒で決まる!」 専門家が教える「好印象を与える会話」に大切な“5つのこと” でも実は、「話すのが苦手」なのは、決して個々人の“性格のせい”ではないのだそう。 多くの人が抱く「コミュニケーションの苦手意識」は、生まれつきのものではなく、後天的に身についたものなのです。 そして「会話力」とは、まるで楽器を演奏したり、スポーツをすることと同じように、スキルを身に着けることで、必ず上達する“技術”なのだと、40年にわたってコミュニケーションの講義を続けてきた、教育学者の齋藤孝先生は話します。 そこで今回は齋藤孝先生の著書『「考えすぎて言葉が出ない」がなくなる』(サンマーク出版)の“コミュニケーションで大事なこと”というトピックスから、コミュニケーションに対する苦手意識を払拭し、誰とでも会話ができるようになる技術を身につけるヒントを探ってみたいと思います。
【コミュニケーションで大事なこと】人間関係には段階がある
人間関係には「距離感」も大事です。 まだそんなに親しくないのに、ものすごくなれなれしかったり、急に距離を詰められたりすると、相手から引かれてしまうことだってあります。 人と関係を構築するまでには三つの段階があります。 ・第1段階 挨拶をする 「あ、どうも」とか「こんにちは」と働きかけることで、私たちはお互いを認識します。ごく当たり前のようですが、挨拶こそ、すべてのコミュニケーションのはじまりです。挨拶がうまくできないと、なかなか先に進めません。 ・第2段階 雑談をする 人はいわば、様々な情報の集積体です。お互いが持っている様々な情報の中から接点を探し、会話をしていくわけです。 その中でも、雑談は、「自分」というものを出さなくてもよい会話です。というのも雑談は、さして意味がないものだからです。天気の話題であったり、旬の話題だったり。会話というより「お付き合い」の感覚に近いでしょう。 先ほど、「人格同士で向き合わず、間に話題をはさむ」ことをお話ししましたが、雑談こそ、自分というものを出さなくてもよい会話の筆頭といえます。 ・ 第3段階 雑談の中からもう少しお互いに意味や意義があるような話題に進む 相談事や情報交換などもう少し踏みこんだ話になります。 このように、人間関係にも「ホップ・ステップ・ジャンプ」のような段階があることを知っておくと、相手との距離のつかみ方がわかると思います。初対面から親しくなれなくても、それが失敗でもなんでもないことがわかるでしょう。 次回は、長年「コミュニケーションの講義」を行なっている著者が、「『話が苦手』は性格の問題ではない」と考える理由についてご紹介します。
〈著者プロフィール〉齋藤 孝(さいとう・たかし)
1960年静岡生まれ。明治大学文学部教授。東京大学法学部卒。同大学院教育学研究科博士課程を経て現職。『身体感覚を取り戻す』(NHK出版)で新潮学芸賞受賞。『声に出して読みたい日本語』(毎日出版文化賞特別賞、2002年新語・流行語大賞ベスト10、草思社)がシリーズ260万部のベストセラーになり日本語ブームをつくった。著書に『いつも「話が浅い」人、なぜか「話が深い」人』(詩想社)、『大人の語彙力ノート』(SBクリエイティブ)、『話がうまい人の頭の中』(リベラル新書)等多数。著者累計発行部数は、1000万部を超える。テレビ出演多数。
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