野田佳彦代表（2024年9月24日撮影）

　石破茂首相（67）は29日、衆参両院で所信表明演説を行った。10月の衆院選で自民党が56議席減となった衆院本会議場では、「何言ってんだ！」「意味がない」「だれのせいだ」など、勢力を増した立憲民主党を中心に遠慮のないやじが野党席から乱れ飛んだ。「少数与党感」あふれる議場を前に、石破首相は演壇に立たざるを得なかった。 　首相の所信表明演説について、終了後、取材に応じた野党各党の代表からは総じて厳しい評価が聞かれた。 　立民の野田佳彦代表は「政治改革を推進しようとする意欲、覚悟を残念ながら感じることができず、あまり反省していないのではと言わざるを得ない」と指摘。「印象に残る言葉がない」とした上で、首相が、石橋湛山元首相が自身の誕生日に行った施政方針演説から言葉を引用し、与野党の強調を呼びかけたことについて「石橋湛山の言葉は残ったけど、石破総理の言葉は残らない。『石橋』と『石破』では、えらい差だ」と皮肉交じりに酷評した。 　一方、肝いりの「103万円の壁」引き上げが演説に盛り込まれた国民の玉木雄一郎代表は、所信表明演説の内容について「野党の協力なしには政権は成り立たないということを、率直に述べたようになったのではないか」と指摘。「『103万円の壁』を引き上げますと明言されたことは、第1歩が記されたということで評価したいが、どこまで引き上げるかはまさにこれから。第1歩にすぎないと思っている」と述べた。「少数与党という厳しい状況を踏まえ、もっと胸襟を開き、もう少し野党に協力を求める内容の方が良かったのではないか」とも語った。 　日本維新の会の馬場伸幸代表は、これまで訴えてきた月額100万円の調査研究広報滞在費（旧文通費）の使途を公開するようあらためて求め、「維新にも円満な国会運営に協力してほしいのが本心だろう。それなら、約束した旧文通費改革をまずやってほしい」とくぎを刺した。 　共産党の田村智子委員長は「裏金問題の真相解明についてひと言も言っていない。衆議院選挙で大敗したことに無反省だ」と批判。れいわ新選組の山本太郎代表は「中身はなく、ふんわりしすぎ」とした上で、一般会計総額が約13兆9000億円と閣議決定された24年度補正予算案について「30年景気が悪く、国民が貧困化して地盤沈下している上に、コロナがやって来て物価高。13兆円で足りるはずがない」と厳しかった。