高比重ワームの有効性を検証。20年以上も続ける調査から見えてきた「塩分」の秘密。
塩の含有率が高く、シンカーがなくともよく飛んで沈みの速いソフトプラスチックルアー“高比重ワーム”。世の中に登場して間もなく半世紀を迎えようとしている今、あらためて、その有効性を使い方と共に検証し、おさらいすると共に、この先のポテンシャルを考察します。 【画像】ブクブクに…「塩分」の秘密 写真ギャラリー
ノーシンカーリグが基本 使い方はいたって簡単
高比重ノーシンカーワーム(…正確に表現すると“高比重ワームのノーシンカーリグ”ということになりますが、ココではノーシンカーワームとして表記します)。日本ではちょうど5月~9月あたりまで「よく釣れる」ルアーとして昔から使用されるワームのひとつでしょう。ボートからだと、シャローに向かって投げて落とすだけが基本となるこのルアーは、バスたちの生息域が浅い場所に集中する時期にはなくてはならないルアーです。しかも最近では、デプス社のカバースキャットに代表されるような、ボトムでのノーシンカージャークの釣りが普及したことで、シャローだけでなく沖に投げるスタイルも登場。こうなってくると、真冬をはじめ一年中よく釣れるワームとして、さらに確固たる地位が築かれたといっても良いでしょう。 基本的な使い方は「投げて落とすだけ」。皆さんが想像される通り、高比重モデルのノーシンカーリグとしてはこの方法こそが基本であり、また、究極のテクニックと言っても過言ではありません。これは落とす場所さえあっていれば、日本を代表するプロアングラーでも、最近バスフィッシングを始めた方でも等しくバスが食ってくるという事実です。例えば、それがジグヘッドリグやダウンショットリグになると、それぞれワームやリグセットに合った正しい動きを演出しないとバイトは激減します。また、高比重ノーシンカーワームは、シンカーがない関係で他のワームのリグに比べてもスナッグレス効果を高めることができ、結果、根掛かりも少なくなるという、実に使い勝手の良い優秀なルアーでもあるのです。
高比重と低比重論争 適材適所と使い分け
古今東西、釣りというものにおいて、餌(ルアー)を「水の中で自然に漂わす」手法は、魚に違和感を与えないでバイトさせる基本的かつ王道な釣り方です。例えば、キス釣りの天秤仕掛けなど、本来、リールを使用して遠投する投げ釣りでは、イソメなどの餌自体に重さがないため、天秤の「ウエイト(おもり)」を使用することで飛距離を稼ぐ方法が一般的です。しかし高比重ノーシンカーは、ワーム自体に重量があるため、ウエイトを付けずとも遠くへ正確に投げることが可能となります! これは素晴らしいことで、ノーシンカーならばシンカーの存在による動きの不自然さもなく魚にアピールできるのです。例えばシンカー+ワームの総重量が10gのリグと、ノーシンカーで10gのリグとでは、たとえ同じ重量でも水中での動きの自然さが変わってくるのです。 ここでひとつ、天邪鬼的な思考を投げかけてみましょう。先のキス釣り仕掛けもそうですが、ウエイトで飛距離がまかなえるならば、ワーム自体が高比重である必要はないのでは? …という疑問です。どのあたりからが高比重と解釈するか難しい部分もありますが、少なくとも、水中でゆっくり誘いながら落としたいのであれば、高比重である必要はないはずです。また、実際の生物は高比重ワームのような速度で落ちていくことはなく(身体と水の比重差がない)、もっとゆっくりであることもお分かりになるかと思います。実際、魚に対してダイレクトに誘っていくサイトフィッシングで使用されるワームの多くは、もっと低比重で作られることが大多数です。これは私自身の経験値と使い方も含まれますが、確かに少し低比重で、よりゆっくり良く動くノーシンカーワームのほうが食ってくることが多いです。しかも開発者側から考えても低比重のほうが成型の自由度が向上し、より複雑な動きを演出するワームを作ることが可能なのです。 加えてワームを高比重化すると、強度が低下します。それならば、低比重ワームにネイルシンカーを挿入したほうが結果的によく飛び、強度もあり、より動きの良いワームができるのではないか? 実際、このような解釈で新しく釣れるワームが誕生するケースも多々あります。動きを重視することでバスがバイトするという考えは、ルアーフィッシングにおいて基本的な考え方であることは間違いありません。特にワーム本来の動きを重視するメーカーほど、この傾向が見られるといっても良いでしょう。 それでもなお、高比重ノーシンカーワームの存在は揺るぎません。「釣れる」という事実が底支えし、脈々と続く過去からの経験がアングラーに理屈抜きで釣れるという信頼を勝ち取っているのです。