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【論説】日韓関係、両国ともに勝ち目なし

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The Guardian

【ガーディアン論説委員】  日本と韓国の対立で恐らく最も際立っているのは、どちらのためにもならないのに、激化し続けているという点だ。2か国以外の国もまた注意した方がいい。対立の余波が遠くにまで及ぶかもしれないからだ。  従軍慰安婦問題をめぐる論争や、韓国の最高裁が昨年、戦時中に徴用された労働者らには日本企業から賠償金を受け取る権利があるとした徴用工判決を受け、1910~45年の日本による占領時代に対して鬱積(うっせき)していた反感が再び、煮えたぎっている。日本政府は、韓国政府が1965年の日韓基本条約を守っていないと受け止めている。一方の韓国は、過去の植民地時代に関する日本の対応が十分でないと考えており、日韓基本条約は被害者個人の訴訟を拒むものではないと主張している。  そして7月、日本は韓国の半導体製造に不可欠な化学製品の輸出規制を強化し、さらに輸出管理の優遇措置が適用されるいわゆる「ホワイト国」から韓国を除外した。9月には、韓国が日本をホワイト国から除外。相互の「ホワイト国」除外により、経済的に密接に結びついた2国間の貿易は実質的に不便なものとなった。しかしさらなる懸念材料は、韓国が日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄したことだ。そして韓国の日本製品不買運動は、自動車からビール、観光から映画まであらゆるものに及んでおり、非常に感情的な対立が実質的な影響となって現れている。  韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、景気後退、北朝鮮との関係改善の行き詰まりへの不満、法相の不正疑惑(前政権に対し「クリーンさ」を売り込んでいた文政権にとって打撃)などに直面している。日韓の現在の論争は、これまでの歴史論争と同様に深刻ではあるものの、むしろ国民の関心をそらしてくれるありがたいもののように見受けられる。他方、日本の安倍晋三首相は、右派の歴史修正主義者であり、戦後日本の悔恨文化は自虐的だと考える人物だ。  しかし世界第3位と11位の経済大国の間に起こった貿易上の小競り合いによる代償は、特に米中貿易戦争や世界経済の鈍化といった状況に鑑みると明らかだ。核保有国である北朝鮮と隣り合わせる韓国にとって、小競り合いを始めたことは理想的な状況とは程遠い。また共通利害が多いアジアの二つの大国にとって、他国がこの緊張を利用しようとする可能性が高い中、バラバラの方向に進んでしまうのも理想的ではない。ロシアと中国は7月、初めての合同航空パトロールをこの地域で実施し、日韓両国が戦闘機を緊急発進(スクランブル)させている。  こうした問題は米国にも関わるため、米国は自国の同盟国である日韓の仲裁にしばしば入る。しかし国際関係において取引的なアプローチをするドナルド・トランプ大統領は、派手で意外な方法で外交的勝利を引き出すことに注力し、地味な仲裁などには興味がない。トランプ政権は、オバマ前政権と比べてそうした作業の遂行能力がない。米国には、イランやアフガニスタンの問題も差し迫っている。米国に代わってその役割を担う能力または意思がある国が他にないのか定かでないが、欧州連合(EU)は試すべきだろう。しかし米国が介入できなければ、日韓関係はいっそう重要な意味を持つものとなる。二国間で関係修復の方法を見つけられなければ、他国もその代償を払わざるを得なくなるだろう。【翻訳編集】AFPBB News 「ガーディアン」とは: 1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。

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