モデルボクサー世界戦に不安、減量苦で禁断症状?
モデルボクサーとして注目を集めている東洋太平洋スーパーバンタム級王者、高野人母美(28歳、協栄)が5日、都内の協栄ジムで、11日に後楽園で行われるWBO世界スーパーフライ級王者、ダニエラ・ベルムデス(26歳、アルゼンチン)との世界戦に向けての練習を公開した。約11キロにも及ぶ減量苦で、3ラウンドの公開練習予定を2ラウンドで切り上げるアクシデント。減量苦と世界初挑戦のプレッシャーで禁断症状ともとれる悪夢と睡眠不足に苦しんでいる現状を告白した。 そのパンチ力は、誰もが認めるポテンシャルを秘めているが、スタミナとインファイトの経験不足という不安を持つ高野にとって悲願の世界ベルト奪取に赤ランプが灯った。
動きが重い。ミット打ちを公開する練習は、当初、3ラウンドの予定だったが、2ラウンドを終えると高野が、「もう無理です」と練習を突然、途中で打ち切った。異常事態。過酷な減量苦と初の世界戦へのプレッシャーが高野にのしかかっている。それでも、1日でも無駄にできないと、すぐさまジムに作られている減量スペースに移動してサウナスーツに身を包みストーブの前で腹筋を繰り返して汗を流した。 「残り4、5キロです。なかなか落ちないので、それがストレスになっています。体重計の数字を見て気持ちも上下します。あまり早く落としすぎると練習に支障が出るんで、酵素ジュースや減量食などを使いできる限り食べながら落としていますが、この階級は1年ぶりですし……」 スーパーバンタムのリミットは55.34キロだが、今回のスーパーフライは、2階級落として、52.16キロ。通常体重が、63キロの高野にとっては、約11キロに及ぶ過酷な減量だ。元々、男子と比べて筋肉量の少ない女子ボクサーでは、ここまで過酷な減量を課すケースは少ない。男子ならば、筋肉内の水分を計量の数日前に急激に落として調整する“水抜き”という減量手法で、1、2日で、2、3キロを平気で落とすが、女子の場合、その“水抜き”の減量方法も使いにくい。本来は、頭の回転が速く能弁な高野が、会見では珍しくメディアの質問にシドロモドロとなって金平会長が助け船を出す場面も。「3日前から糖質を断っているので頭が回らないんです。すみません」と言う。 初体験とも言える減量苦にプラスして、初の世界挑戦戦に対する重圧でメンタルもやられ、夜は眠れず、禁断症状まで出てきているというから深刻だ。