ホリエモンのサッカー界改革提言!「Jの外国人枠を撤廃せよ」
――外国人枠の撤廃となると、反対意見も出てくると思うのですが。 「どんな反対意見がありますか」 ――日本人選手の出場機会が減少して、日本代表選手が育たないという問題です。 「ブンデスリーガを見てください。昨年のワールドカップでドイツ代表が優勝しましたけど、ブンデスリーガの各チームにドイツ人選手は何人くらいますか。おそらく4、5人じゃないですか。それなのに、なぜドイツ代表が強くなったと思いますか」 ――協会が各クラブの育成システムをサポートしていますよね。 「その点は、もちろんJリーグ側も把握しています。ドイツ協会とブンデスリーガの連携が上手くいっているんですよ。ドイツ協会は代表戦などで得た資金の半分だか4分の1を、ブンデスリーガのチームに傾斜配分しているんです。傾斜配分の決定方法はユースやジュニアユース、要は育成に力を入れているかどうか。国境を越えてドイツにくるジュニア年代の選手はまずいない。ドイツ人がほとんどだから、将来のドイツ代表が育つ。加えて、ヨーロッパは国際試合を容易に組めますよね」 ――アジアの島国の日本と欧州のドイツでは地域性に大きな違いがあります。 「日本もようやく、Jリーグが日本サッカー協会から分配金をもらえるようになりました。行く行くはブンデスリーガのように傾斜配分をして、各クラブがユース、ジュニアユースの育成にお金をかけて、子どものうちから国際試合を経験させることによってレベルアップを図る。そこで外国人枠の撤廃が、僕は日本代表の強化に資すると思うんです。日本代表の試合を見ていると海外組は善戦しますけど、国内組は全然ダメじゃないですか。普段からレベルの高い外国人選手とプレーしていないからだと、僕は思うんです。Jリーグも発足当初は、きら星のごとく外国人選手がいたじゃないですか」 ――ジーコを筆頭に大勢いました。 「ピクシーもいましたよね。ディフェンスの選手だったら、彼らをどうやって止めるのかという感じで切磋琢磨していました。彼ら一人で要は何人分も育成していたんです。再びそのような状況を作り出すには外国人枠を撤廃して、強い外国人と国内にいるJリーガーが切磋琢磨させること。Jリーグ初期だったから外国人枠が必要だっただけの話で、いまや古臭い考え方ですよ」 ――確かにブンデスリーガには外国人枠が存在しません。 「もっと言うと、日本人への帰化条件を緩和すべきですよ。日本代表を強くするのは非常に簡単で、ラグビーのようにすればいいんです。ラグビーって、めちゃくちゃ代表資格の基準が緩いですよね(帰化してなくとも、3年以上居住して大学やクラブチームなどでプレーしていれば可能)。見た目でもう日本人じゃない選手もいるし、だからこそ日本代表が強くなった。 同じようなことを、実は高校野球もやっています。高校野球は県別対抗戦だから、緩い県に有望選手が集まります。要は県内のライバル校が弱いところに学校法人が集客のための投資をして、全国の中学校からいい選手を取ってくる。高校野球はトーナメント戦だから、番狂わせが起こりやすい。だからそういうビジネスモデルが成り立つわけですし、スポーツで純血主義にこだわるというのはもう時代遅れですよ。いまのラグビーの日本代表を見ていて、こんなの日本代表じゃない、と言う人はいないでしょう」 ――ラグビーはW杯で南アフリカ相手にアップセットを起こしたことで注目を集めました。 「五郎丸が一人いればいいわけじゃないですか? そういうところも含めて意識改革が必要だし、だからこそ僕たちがアドバイザーに選ばれたんだと思います。 僕たちに対する一番簡単な批判は『お前らサッカーの素人だろう』とか『サッカーを愛しているのか』といった感情論になっちゃうんだけど、いままで解決できなかったから僕たちが呼ばれたわけです。皆さんのようにスポーツを見ている方からすると違和感があると思いますけど、要は僕たちも外国人みたいなものです。だからこそ言えることがあるし、しがらみもないし、誰かの指揮下に入るわけでもありません」 (明日掲載の後編に続く) (文責・藤江直人/スポーツライター)