膨大な気象データを武器に事業拡大を図るウェザーニューズ、石橋知博社長が種をまく新たなビジネスモデルとは?
スマートフォンの天気予報アプリを使うと、サービスによって微妙に予報結果が異なっているのが分かる。その中で、船舶向けの気象情報提供からスタートしたウェザーニューズは、個人や企業ユーザーなどから集まる膨大なデータを活用して予報精度を上げる一方、これまでにないビジネスを展開しようとしている。2024年6月に社長に就任した石橋知博氏が語る、今後の気象ビジネスの可能性とは。 【写真】全国にいるサポーターから1日2万通投稿される「天気写真」 ■ 「サポーター」から届く気象情報は1日20万件以上 ──日本に限らず世界中で今、異常気象や自然災害への関心が高まっていますが、ウェザーニューズの事業に与える影響はありますか。 石橋知博氏(以下、敬称略) ゲリラ豪雨や大型の台風などが来ると、アプリのダウンロード数が増えます。やはり世の中全体で気候変動に対する関心が高まっていて、例えば自社の事業所がある地域は将来的に大丈夫なのか、台風や洪水でプラントは浸水しないのか、食材が確保できなくなるのではないか……といったさまざまな情報に対する企業のニーズも強くなっています。 いまや気象・気候に全く影響されない会社や業種は、ほぼないと考えています。ただ、お金を払ってその情報を得ることに意味があると捉える企業はまだ一部にとどまっています。そうした企業を増やすために、どのようなサービスでお客さまに対してROI(投資利益率)を提示していくかがわれわれのテーマです。 例えば、暑い時にコンビニで辛い食べ物が売れると分かればたくさん作っておくことができますし、それを全国1万店舗でうまくコントロールすれば、売り上げに与えるインパクトはCMを打つより効果が高いかもしれません。 すでに建築、流通、エネルギーなど、多種多様な業界の大手企業が当社のお客さまですが、気象・気候情報の価値を中小規模の事業者にまで認識していただけるかが課題になっています。 ──気象・気候情報を提供するサービスは他にもあります。ウェザーニューズの強みはどこにありますか。