Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

職人大学校に水滴の音色 校舎前に水琴窟 研修生が手作り

配信

北國新聞社

 大和町の金沢職人大学校前に21日、水が滴り落ちる響きが琴の音色に聞こえる日本庭園の排水装置「水琴窟(すいきんくつ)」が設置された。時代とともに需要が低下し、作り手が少なくなっていることから、技術を受け継ぐため実習を兼ねて造園科の研修生が初めて製作した。一般の人の目に触れる場所に置くことで水琴窟を発信し、日本庭園の「音風景」の継承につなげる。

 水琴窟は、底に穴を開けたかめを逆さにし、ちょうず鉢の近くに埋めている。かめにたまった水に水滴が落ちると、内部で反響し「キーン」「コーン」と澄んだ音が聞こえる。江戸時代に考案されたと言われ、県内では金沢以南の寺院や旅館の庭で多く見られる。

 庭園のない住宅が増えた現代では新しく作られる機会が減っており、金沢職人大学校造園科は、技術伝承のため昨年度から授業で水琴窟の製作指導を取り入れた。20、21日に行われた初の実習では、8期生6人が、水琴窟作りの名人である向瀬造園(宝達志水町)の中村茂好代表(73)の指導で校舎前の一角に水琴窟を作った。

 製作した水琴窟は、実際の庭園にあるものと同様に音が聞こえるようにし、隣接する市民芸術村に訪れた親子連れなどに美しい音を楽しんでもらう。造園科の指導を担当する県造園業協同組合の担当者は「形に残すことで研修生の記念になるし、水琴窟を広める機会にもなる」と話した。

 中村さんは「水琴窟作りは庭師の感性が大切な仕事だが、研修生には体を動かしながら作り方を学んでもらい、独り立ちしてからも作ってほしい」と期待を込めた。

北國新聞社