9回のマウンドでも力を振り絞る一関学院・佐々木（撮影・高橋香奈）

＜秋季高校野球岩手県大会：一関学院2－0盛岡大付＞◇26日◇準々決勝◇花巻球場 　一関学院が佐々木遼投手（2年）の公式戦初完封の快投で盛岡大付を破り、ベスト4進出を決めた。「ヨッシャー」の声が鳴り響いた。大切な試合の先発を担った佐々木はゲームセットの瞬間、感情があふれた。「態度に出るのは感情が高ぶったときだけ」と冷静に答えたが、この日は興奮を抑える必要はなかった。自身公式戦初完封を飾り、チームは準決勝へと駒を進めた。 　完封までの道のりは、決して簡単ではなかった。8回に安打、四球、死球で1死満塁のピンチ。公式戦で7回以降のマウンドは未経験で「手に力が入らず制球に苦しんだ」。それでもずっと支えてくれた「仲間の姿に奮い立った」と後続を気迫で抑えた。 　佐々木の原動力のひとつに、4年前まで同じ一関学院で正捕手として活躍していた兄、春磨氏の存在もある。寮生活の中で頻繁に会えるわけではないが配球の組み立て方などアドバイスをもらう。この日も「ストライク優先、自分を信じて」と言葉を授かった。「同じ一関学院に入って兄を超す」と決意し毎日練習に励んでいる。 　28日の準決勝は専大北上戦。高橋滋監督が「若いうちから実戦を積んできたチーム」と警戒する。佐々木は「自分と仲間を信じて」と秋連覇への道を着実に進む。