【アイスホッケー】五輪最終予選、日本0勝3敗。 ⑨中島彰吾(レッドイーグルス北海道、最終回)
「調子の良さがチームにつながっていない。 もう、はい上がるしかないんです」
レッドイーグルス北海道のキャプテン中島彰吾は、「どうしたらいいんだろう」と考えながら今シーズンを戦っている。 「昨季とは、やっている感覚がまるで違います。ベテランが抜けて、ルーキーや外国人選手が入ってきた。日々、アップデートしていくしかないと思ってやっているんです」 今年は五輪予選があったおかげで、中島自身、早めに体調を整えてシーズンに向かっていけた。個人的には、コンディションはここ3~4年で一番いいという。 「でも、それがチームの成績につながっていない。レッドイーグルスは例年、スタートダッシュがよかったのに…。もう今季は、はい上がるしかありません。感覚的にはプラスに考えるようにしています」 レッドイーグルスの試合を見ていると、開始5分以内での失点が多い。最近では11月30日と12月1日のジャパンカップ・横浜グリッツ戦。第1戦が開始3分で2失点、2戦目も2分に先制されている。しかも、ゴール前でバックドアとバンパーにフリーで打たれているのだ。開幕からすでに3カ月が経ったが、レッドイーグルスはまだ本来の調子を取り戻せないでいる。 何よりレッドイーグルスの長所であるОゾーンでのダイナミズムが、今季は発揮されていない。 「Oゾーンに入る時に、もちろんキャリーしていくのが一番いいのですが、ターンオーバーした時の失点のリスクが高いんです。それを避けているのはありますね」 12月1日、横浜との第2戦。前日に負けたチームにあって、中島はパスを出すよりも、シュートを放つことを強く意識して臨んでいた。ここまで好調の新人GK・冨田開を相手に、なんとか試合の流れを引き戻したい。そんな姿が印象に残った。
「あの角度からのシュートが決まった。 アジアリーグでは選択肢にないはずでした」
今夏、中島は日本代表チームとして、Cマークをつけて試合に臨んだ。8月15日からはデンマークで約2週間の直前合宿。2試合のテストマッチをこなし、8月29日からの五輪最終予選に臨んでいる。 「初戦のノルウェー戦を前に、選手だけのミーティングをやりました。テストマッチの出来がよくなかったというのもあったし、平野裕志朗(オーストリア、HCインスブルックFW)がやりませんかと言ってくれた。僕自身、このまま五輪予選に入ったとしても、みんな気持ちがバラバラな感じがしたんです」 「ペリーさん(2月の五輪3次予選で交代)が日本代表の監督だったころから見ると、現監督のスカルディさんはわりと選手の自由にやらせてくれる人です。でも、それが悪い規律というか、それぞれが違う方向を見て、勝手な矢印で進んでいる印象があった。まずは1つにならないといけない、ランキングの上位と戦う時に1本のかたまりにならなければ勝利はつかめないよ、と。ミーティングでは1時間ほど話し合ったでしょうか。代表に来る選手ってハートが熱いんです。ちょっと前まではバラバラだったのが、ミーティングをすることで一致団結というか、その効果があったと僕は思っています」 初戦のノルウェー戦に敗れ、2戦目のデンマーク戦を迎えた。ここで、日本は60分で勝たなければオリンピックには出られない。ところが60分間が経って、2-2のまま延長戦に入った。この瞬間、日本のオリンピックの可能性が消えた。 「それをチームとして共有できていなかったんです。正直、タイムアウトをかける暇もなかった。今思えば、6人攻撃をかけるべきだったと思います。思いますけど、かける場面がなかったんです。オーバータイムでは、佐藤優(ロシア、ディナモ・アルタイFW)のポストに当たるシュートがあって、その後にデンマークにゴールを決められた。アジアリーグでいうと、正直、あの角度からシュートを打とうという選択肢はないはずなんです。シュートを打たれた時に、びっくりした記憶がありますね」 デンマークとすれば、中島と石田陸(イタリア、HCメラーノDF)がダブルスクリーンとなり、GKの視界を遮ったコンマ何秒かのスキに決まった会心のゴールだった。目の前でシュートを決められた石田はショックで顔を上げられず、どのようにリンクを後にしたのか詳細を覚えていないという。