佳子さま、愛子さま、悠仁さま…皇族の結婚に必要なのは愛か家柄か、それとも覚悟か? 林真理子『李王家の縁談』が投げかける令和皇室への“問い”
横断歩道でプロポーズ
林 圭くんの場合、そもそもICU(国際基督教大学)というのがすべての原因なんじゃないかな。 小田部 というのは? 林 よくママ友とも話すんですが、インターナショナルスクールからICUなんて一番お金がかかるコースじゃないですか。400万円の借金が問題になっていますけど、経済的に余裕がないなら普通の公立高校から国立大学に行かせればいいんじゃないの、と。ちょっと背伸びしすぎている印象です。 小田部 そうですね、そこが今回ネックになっている気がします。つまり、上昇志向は誰しも持っていて否定することではないけれど、背伸びして仲間入りしようとした先が皇室だった。いくらなんでもそこまでは無理なんじゃない、という見方がまだ日本社会にはあるんでしょう。 林 圭くんといえば、もう一人のケイくんがいるじゃないですか。高円宮家の絢子さまとご結婚された守谷慧さん。彼なんかは家柄も学歴も勤め先も申し分なく、理想的なお相手ですよね。昔はああいう方たちが皇族の周りにはたくさんいたんでしょうけど。 小田部 秋篠宮家は恋愛結婚のお二人でしたから、家庭内では特にそれを認める雰囲気が強いのかもしれません。 林 秋篠宮殿下は横断歩道でプロポーズなさったという話がありましたけども。 小田部 ある意味、先を行き過ぎてしまったのかな。自由過ぎたというか。結婚は相思相愛が一番ではあるのですが、まだ「家」という考え方は残っています。皇室であればなおさらです。相思相愛の自由恋愛とはいっても、秋篠宮家の場合お相手が学習院の教授のお嬢様だとみんなわかっていた。経済的にどうこうというよりも、社会的にまっとうな生き方をしているかどうかが評価されるんだと思いますけどね。
「圭くん、しわい」
林 私の生まれた山梨には「しわい」という方言があるんです。強情とか小生意気とかそういう意味なんですけど。私からするともう、圭くん、しわいな。なんでご辞退しないんだろう。 小田部 いや、辞退はしにくいでしょう。内親王のラブコールを断ったなんてことになったらそれこそ袋叩きですよ。 林 そうか、たしかに。じゃあ眞子さまが「辞めます」っておっしゃればいいんですね。 小田部 言えとは言えませんが、そうしない限りは収まりがつかないですよね。眞子さまに気づいていただくしか道がない。小室さんはもう身動きできないでしょう。 林 先生は同情的ですね。今頃きっとお二人も、先生と私のようにZoomやスカイプでつながってますよ。「眞子、愛してるよ。僕は絶対別れない。だってこんなに愛してるんだもん」「圭。やだ、うれしい」とかね。 小田部 どうでしょう(笑)。林先生はいろいろドラマも書かれますからよくご存じだと思いますが、結局そういうのは一生は続きませんからね。どこかで絶対さめてしまう。 林 それはそうですね。 小田部 僕は、そこまで言うならもう皇室の特権もなにも全部捨てて、お二人で好きなように暮らすべきだと思うんです。 林 つまり、一平民として。 小田部 そう。皇族の一時金も特権も欲しい、それでいて小室さんと一緒になりたいというところに国民は疑問を感じているわけです。もしお二人が本当の純愛なのであれば、“皇族”という立場とそれに付随するいろいろな特権を捨て、「2人で苦労しながら生きていきます」と言えばいい。そうすれば拍手する人も増えるんじゃないですか。 林 今のままでは国費を当てにした結婚に見えてしまいますからね。 小田部 「それ、純愛なの?」というのにわれわれ庶民は敏感です。純愛を貫くなら皇室を捨ててでも貫く、皇族として生きていくなら、もっと毅然と、大局的に結婚というものを見る。この二択しかないのではないでしょうか。
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