ロート製薬の高級スキンケア「エピステーム」、中国市場で快進撃。巨大トラフィック「Douyin EC Global」が立役者
再生医療スキンケア×ブルーオーシャン市場
エピステームは再生医療研究を応用し、「年を重ねながらも、老化に挑むことはできる」という独自のコンセプトを掲げるスキンケアブランド。これは中国市場ではまだ競争の少ないブルーオーシャンとされる分野であり、適切なターゲット層に対してブランドの魅力を効果的に伝えることができれば、チャンスは大きい。 日本国内では高級ラインとして専属の美容スタッフが常駐する高級百貨店で販売しており、コンセプトや効能を消費者にいかに伝えるかがカギとなる。福田氏によると、「日本と中国とでは、顧客とのコミュニケーション手法や、自社の魅力を伝えるツールが全く異なることを十分に研究した。オンラインだったとしても、Douyin ECの動画コンテンツや、インフルエンサーによるライブ配信という形式を通じて、消費者に直接情報を届けたいというニーズを十分満たすことができた」という。 エピステームはインフルエンサーを単なる販売促進の手段としてではなく、ブランド理念や商品の品質を的確に伝える存在として位置づけている。だからこそインフルエンサーらを日本に招き、会社や研究所などの視察を通じてブランドへの深い理解と信頼関係構築に取り組んだ。商品に対する思いや特徴をしっかり体感してもらうのが第一歩だ。 そして、どのように訴求・発信するかは、各インフルエンサーや現地のパートナーと一緒になって考えることが必要だ。 エピステームの中国における顧客層は日本市場と異なる。購買力の高い一、二線都市に住む20~30代の若年層女性から支持を集めており、若年層を中心とした抖音電商(Douyin EC)のユーザー属性の強さに始めは驚いたという。そして日本での成功法をそのまま活かすことができないことも同時に分かった。 数十人のインフルエンサーと何度も交流を重ね、相互に理解しあえた信頼関係のもと、インフルエンサーたちは定期的にライブ配信を実施。エピステームのブランド理念をよく理解した「仲間」として、ユーザー視点で商品の魅力を発信してくれていることが、成功のカギの一つとなった。 例えば主力商品の一つである美容ドリンクは、中国消費者が好む「インナーケア」や「食養生」の漢方思想と相性が良い。さらにロート製薬=日本ブランドという「安全で信頼できる」といった点も強く訴求していった。結果的に、商品への信頼が高まったことでリピーターが増え、家族や友人への口コミによる拡散効果も大きく、一度に大量購入する顧客も現れているという。 これらの経験もあり、競争が激しい中国市場で成功を収めるには、市場特有の商慣行や消費者行動を徹底的に理解することが重要だとエピステームチームは考えるに至った。抖音電商全球購(Douyin EC Global)は日本の顧客をよりよくサポートするため、東京に現地チームを配置した。現地チームとの定期的なコミュニケーションを通じて中国市場のトレンドを常に把握したり、また現地に精通する運営パートナーや専門スタッフと緊密に連携したりして、「日本流に固執しない」柔軟な姿勢を取るべきだという。 エピステームは大半の社内リソースを抖音電商全球購(Douyin EC Global)に集中投入した結果、2023年には売上1億元(約21億円)を突破しており、また2024年も順調に伸びている。今後、さらなる成長に向けた新たなチャレンジとして、自社ライバーの育成にも着手する計画だという。外部インフルエンサーへの依存度を低減し、コスト削減とブランド価値の一層の向上を目指す。 (36Kr Japan編集部)