UFCファイター・平良達郎も大絶賛。映画『若き見知らぬ者たち』の超リアルな格闘シーンはこうして生まれた!
平良 僕から見ても、ローキックとか痛そうだなと思いました。グラウンドの攻防でスクランブル(もつれ合い)になっても見入っちゃうというか、ホンモノの試合そのものでした。フィニッシュとなったバックチョークも、狙っていたかどうかわからないけど、ちゃんと相手の腕を一本殺した(封じて動かなくした)うえでのバックチョークだった。僕もフルバックをとったときに、まず相手のリストをコントロールして、足を一本挟んでとかもやるので、「あっ、俺もよくやるテクニックだ」と感心しました。 福山 (手を叩きながら)ありがとうございます。 平良 そういう部分も含め、本当に試合のシーンは見応えがありました。間違えて(出会い頭に)ヒザがゴンとぶつかったりしないか、見ているこっちがソワソワしてしまいました。 福山 確かに、そういう衝突事故みたいなアクシデントが起こる可能性はたくさんある展開だったので、そこはファビオ選手と徹底的に稽古を重ね、どちらかがアドリブのような動きになったとしても、すぐに呼吸を合わせられるようにしてから本番に臨みました。 ──格闘シーンは長回しでの撮影が印象的でした。一度も休憩を入れることなく、撮影を続けたんですか? 福山 試合は5分3ラウンドありましたが、1ラウンドから3ラウンドが始まる直前――父親(風間亮介=豊原功補)の回想が出てくるシーンまでは一気に撮りました。それ以降はもう一度セッティングし直してという流れでした。 平良 ほかに印象的なシーンとしては、ちょっとケージ(金網)を背負いすぎていたかな。 福山 (笑)。 平良 (本職もMMAファイターである)ファビオから強いプレスをかけられていると思いました。それからの逆転なので、フィニッシュのバックチョークも光ったと思う。一般の寝技を知らない人にも伝わるんじゃないかと期待しています。 福山 平良選手にそこまでおっしゃっていただけるとは。監督とずっと話し合っていたことは、実際のMMAファイターの方たちに失礼のないように、最大限のリスペクトを持って恥ずかしくない試合運びを焼き付ける、というのがひとつの目標だったんです。 実はもともと1ラウンド目はもっと静粛に包まれた中、お互い距離を保ったまま終える予定だったんですけど、オクタゴンの中に入って360度の全方位から大歓声をもらった瞬間、相手との距離感がバグって(狂って)しまいました。 平良 (納得した面持ちで)ア~ッ。 福山 それで最終ラウンドのような気持ちになって、すごいインファイトになってしまったんです。平良さんはラスベガスの会場で大歓声を受けたとき、そういう気持ちになることはありますか?