もはや遊園地? 全国各地の「道の駅」が近年、大変身を遂げている理由
全国に約1200施設
観光地の幹線道路をドライブすると、道の駅を必ずと言っていいほど目にする。大きな駐車場にトイレ、地元の食材のレストラン、農産物や加工品、土産物が一堂に会するショップなど、観光客には何かと利便性のよい施設だ。 【画像】こりゃ遊園地じゃん! 全国各地の「道の駅」を見る(25枚) 市町村などからの申請に基づき、国土交通省が ・休憩機能 ・情報発信機能 ・地域連携機能 の設置などの要件を満たすものを登録し、市町村などが設置する。1991(平成3)年に実験的な施設が開発され、1993年から正式な開発がはじまった。それから2022年で30年以上たつ開発スキームだ。 現在、国内には1194施設もの道の駅が存在している(2022年2月9日時点のデータ)。すべての都道府県に存在しており、東京都の1施設から、面積の大きい北海道には127施設、本州では岐阜県に最も多い56施設もの道の駅がある。世界的にも類を見ない総合観光ネットワークであり、今や地域の観光にはなくてはならない施設となった。 このネットワークを生かして道の駅同士で協定を結び、お互いの物産を販売し合うなどの取り組みも見られる。海外でも評価されており、ベトナムやタイ、カンボジア、アルメニア、エルサルバドルなどでも展開している。道の駅は国が行った観光振興事業の中でも特に成功した事例のひとつと言えるだろう。
興隆の背景にあった「観光ドライブイン」
道の駅がはじまった1991年より前から、観光地へ向かう幹線道路沿いの立地は非常に注目されていた。当時は国内のモータリゼーションの発達によってマイカーによる国内旅行が活発化し、大量の観光客が通過する幹線道路沿いは大きな集客ポテンシャルを有するようになっていた。 駐車場、トイレ、レストランを複合したドライブイン的施設を幹線道路沿いに開発すると、たとえその立地自体が観光地でなくとも、多くの観光客の利用を獲得することができた。 また、当時は観光バスでの団体ツアーが多かった時期で、観光バスの立ち寄り場所ともなるとさらに大量の観光客の利用が見込めた。 そのため、一般ドライバーや観光バスの立ち寄りの促進を図って、単なる食事休憩だけではなく、地元の土産物を物色できる物産館的ショップやミニミュージアムのようなレジャースポットを複合した「観光ドライブイン」と呼ばれる施設の開発が活発化した。 道の駅は、観光ドライブインの集客スキームがベースにあると言える。