実は男性/女性、朝型/夜型で「なりやすい病気」に違いがあった…!
あなたはどのクロノタイプ?
人は、各自の睡眠リズムや日中の活動パターンの特徴により、以下の3つに分けることができます。 【写真】ダマされるな! 飲んでも効かない「サプリ」一覧 えっ、あれも…? i)早寝早起きが苦にならず、午前中の生産性が高い朝型タイプ ii)宵っ張りで早起きが苦手、午後から夕方にかけて生産性が高まる夜型タイプ iii)それらの中間型タイプ このような個人差を「クロノタイプ」と言います。日本人では、クロノタイプの比率はおおよそ朝型40%、夜型20%、中間型40%とされています。 各自がどのようなクロノタイプになるかは遺伝子1)によって決まる部分がありますが、加えて年齢、性および生活習慣も影響することが知られています2、3)。 例えば、幼児期はほとんどの人は朝型タイプですが、青少年期を迎えると夜型タイプが増えていき、その後、加齢とともに再び朝型タイプが多くなります。さらに、青少年期以降は、夜型タイプの比率は男性のほうが女性よりも高くなりますが、このような性差は50歳を超えるとなくなります。 このクロノタイプは、病気のなりやすさに大きく影響することが知られています。例えば、夜型タイプの人のほうが朝型タイプの人よりも、糖尿病、心筋梗塞、うつ病などになりやすく、早期の死亡リスクが高いことが報告されています4~7)。一方、やせ願望や肥満恐怖などのために食べる量が減り、著しくやせてしまう神経性食欲不振症は、朝型タイプの人に多いとされています8)。 このようにクロノタイプが異なると病気になりやすさに違いがありますが、さらに男性と女性それぞれでも異なる特徴が見られます。
朝型と夜型、なりやすい病気の違い(女性編)
1)うつ病 うつ病は決して稀な病気ではなく、最近の調査により、これまでにうつ病を経験した人は約15人に1人、過去12ヶ月間にうつ病に罹った人は約50人に1人であるということが報告されました(うつ対策推進方策マニュアルー都道府県・市町村職員のためにー 厚生労働省平成16年)。 うつ病は心身のエネルギーを低下させ、いろいろな病気の原因になりますが、最近、女性のうつ病の発症にクロノタイプが大きく影響していること明らかにされました9)。 19~80歳の男女約5550人を対象にして、クロノタイプとうつ病との関連性を調べたところ、女性では中間型タイプに比べて夜型タイプの人ほうがうつ病に罹りやすく、一方、男性ではそのようなクロノタイプ間の影響はありませんでした。 さらに、男女ともに中間型タイプに比べて朝型タイプの人は、うつ病の発症が増えることはありませんでした。したがって、朝型タイプに比べて夜型タイプの女性は、うつ病に罹りやすい可能性があります。 2)メタボリック症候群 ウエストの周囲が男性85cm・女性90cm以上、かつ血圧・血糖・脂質の3つのうち2つ以上が基準値より高くなると、「メタボリック症候群」と診断されます。平成29年度に行われた国民健康栄養調査により、メタボリック症候群が強く疑われる人の割合は20歳以上の男性で27.8%、女性で12.9%であることが分かりました。 メタボリック症候群の原因は十分に解明されていませんが、女性ではクロノタイプが影響していることが報告されました10)。46歳の男女5113人を対象にして、クロノタイプとメタボリック症候群との関連性を調査したところ、女性では朝型タイプに比べて夜型タイプの人のほうがメタボリック症候群に罹りやすく、一方、男性では朝型タイプの人と夜型タイプの人で差がないことが示されました。 加えて以下に述べるように、糖尿病についてもクロノタイプの影響が明らかにされています。 メタボリック症候群の患者は糖尿病をしばしば合併しますが、中年女性(45~62歳)を対象にして糖尿病の頻度を調査した研究により、朝型タイプの人に比べて夜型タイプの人ほうが、1.72倍も高いことが報告されています11)。このように、夜型タイプは糖尿病の発症に大きな影響を及ぼしますが、その理由として夜型タイプの女性は不健康な生活を送りやすいことが指摘されています11)。