原辰徳監督集大成の2021年は、菅野智之のメジャー移籍で「真価」が分かる?/川口和久WEBコラム
菅野のメジャー移籍には賛成だ
巨人・菅野智之のポスティングシステム行使に関しては、球団は基本OKで本人が迷っているという段階のようだ。 過去、ダルビッシュ有、田中将大らとメジャー移籍の投手組の成功例は多いが、井川慶、藤川球児のように結果が出せなかったり、大谷翔平、あと松坂大輔の後半もそうだが、故障に苦しみ、思うようにいかなかったりする例も多い。 加えれば、メジャー・リーグの来季はどうなるのか。アメリカのコロナ禍は日本とは比べものにならないくらい深刻だ。 今季は60試合しか行われず、かつ試合数に応じ年俸がカットされたというが、来季も同様の状況となって何の不思議もない。 菅野にしても、ソフトバンクにあれだけ圧倒的にやられた。 やり返したい気持ちもあるだろう。伯父さんの原辰徳の契約最終年でもあり、有終の美を飾らせてやりたい、という思いもあるはずだ。 ただ、俺は行ってもいいんじゃないか、と思う。 理由は大きく2つ。 1つは菅野の完成度だ。昨年までは少しずつ腕が横振りになり、球の質が落ちている印象があったが、今季は新フォームで真っすぐの質が比べ物にならないくらいよくなった。球速にしても彼は完投を常に意識しているタイプだ。球数が制限されるメジャーなら当然、アップするはずだろう。 31歳という年齢もある。一野球ファンとして、少しでも早く菅野がメジャーでどのくらいできるかを見てみたいし、彼自身のいい経験になると思う。 2つめは原監督の「集大成」を見たいからだ。 3年契約の最後。おそらく退任し、その後はGMになるんだろうが、年齢的にも、そこから4期目の巨人監督復帰はないだろうし、よその球団で受けるという可能性も低いんじゃないかな。 名将と言われた監督原辰徳のラストイヤーになる可能性が極めて高いということだ。 3期目の原監督は、1年目は4年連続V逸から優勝を飾り監督力が注目されたが、今年はどうか。若手の起用や野手の投手起用で話題になり連覇を飾ったが、正直、ほかのチームが勝手にこけたのと、開幕13連勝の菅野の力があってこそだった。 極端に言えば、菅野が別のチームにいたら、そのチームが優勝しただろう。 もし菅野が来季残留すれば、正直、周囲は優勝は当たり前と見る。 むしろ菅野が抜けた中でリーグ3連覇を飾り、さらにソフトバンク(決まっているわけではないが)を破って日本一を飾ってこそ、原辰徳という名将の幕引きにふさわしいのではないかと思う。 写真=BBM
週刊ベースボール