「なぜロシアのことなんか勉強するんだ」 反対されても、ロシア語学科に進学 その思いとは?
定期試験は年に16回以上
上智大学のロシア語学科では、1、2年次に語学の基礎をしっかりと身につけ、日常会話ができるレベルを目指します。ほとんどの学生が入学してから初めてロシア語を学ぶため、文字の書き方から始め、ネイティブや日本人教員による基礎ロシア語の授業(100分)が週に6回あります。1年次は定期テストが年間16~18回程度あり、宿題も多いため、勉強はハードです。 春山さんは、こう話します。 「入学当初は大学受験の勉強は甘かったと感じるくらい大変でした。英語は幼いころから習っていて、語学留学もしているので得意なのですが、ロシア語は文法以前にそもそも文字を書けるのかという不安からのスタートでした。入学前は友達と遊びに出かける時間もあるだろうと思っていましたが、実際にはそんな余裕はなく、授業以外の時間は図書館の自習スペースで友達と勉強して過ごしました」 山田さんは、2年の夏休みに、3週間の語学研修でウズベキスタンとカザフスタンへ行きました。 「現地の人の言葉をある程度は理解できて、1年半学んできたロシア語が身についているという実感を持てました。ロシア語を学習したことで、自分の世界がぐっと広がった気がしました」 今年の夏からは1年間休学し、ウズベキスタンの大学に留学しています。 「2年次に現地に語学研修に行ってから、文化や宗教などにも興味がわいてきました。せっかく興味が膨らんでいるのに、就活モードに入るのはもったいない気がして、留学してロシア語をより深く学びつつ、進路について考えたいと思います」
テスト前には結束
ロシア語学科では、2年次の終わりごろに、旧ソ連地域の歴史、政治、経済、社会、文化などを幅広く探究する「ロシア・ユーラシア研究コース」や、人間のみに与えられた言語能力を科学的に研究する「言語研究コース」など9つの研究コースから1つ選択し、3~4年次にその研究を積み重ねていきます。 「言語研究コース」を選択した今井さんは、日本語教育に必要な知識を学べる「日本語教授法」という授業が印象に残っています。 「学習者の言語のレベルに合わせてどのように教えればいいのかなどを学んだうえで、自分が教える側として模擬授業を行い、とても勉強になりました。大学のクラスには中国出身の学生もいるので、実際に日本語を学習してきた人の視点を取り入れながら、自分で授業内容を考えて実践したのが楽しかったです」 長瀬さんは、3年次から政治関連と文学系の2つのゼミに所属しています。 「ロシアの政治については激動の歴史にもともと興味がありましたが、文学についてはトルストイとドストエフスキーしか知らないくらい、全く興味がありませんでした。でもロシア文学の授業を受けて、文学によって新たなものの見方ができることがわかり、文学の面白さに気づくことができました」 ロシア語学科の雰囲気については、次のように話します。 「入学当初は勉強が大変で苦しいですが、だからこそ、ほかの学生とテスト前の危機感を共有して結束が強くなっていきます。小規模な学科なので、先生方も学生一人ひとりの顔と名前を覚えてくださり、勉強のことなど何でも相談しやすい環境です」 学びをもっと深めたいと、大学院への進学も検討しています。