「なぜロシアのことなんか勉強するんだ」 反対されても、ロシア語学科に進学 その思いとは?
実用的な外国語を専門的に学べる外国語学部。大学によって英語のほか、ドイツ語、フランス語、スペイン語、中国語、ロシア語、ポルトガル語、イタリア語などの学科を設置しています。そのなかでも習得が難しいと言われているのが、ロシア語です。ロシア語学科で学ぶ学生は、なぜロシア語を選び、どのように学んでいるのでしょうか。また、ロシア語を学ぶことで、どのような力を身につけて、どんな仕事に就いているのでしょうか。(写真=中央が上智大学外国語学部ロシア語学科3年の山田彩乃さん、カザフスタン・ウズベキスタン語学研修中の様子。本人提供) 【写真】上智大学ロシア語学科3年の山田彩乃さんは、2年次の語学研修でウズベキスタンへ(写真=本人提供)
なぜロシア語を学ぶのか?
外国語学部でロシア語を集中的に学べる大学は、東京外国語大学言語文化学部ロシア語専攻、上智大学外国語学部ロシア語学科、大阪大学外国語学部ロシア語専攻、京都外国語大学外国語学部ロシア語学科、京都産業大学外国語学部ヨーロッパ言語学科ロシア語専攻、神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科などがあります。 大阪大学の外国語学部は、2007年に大阪外国語大学と統合したことから設置され、専攻語として25言語があります。大阪外国語大学の前身は、1922年に開校した大阪外国語学校で、設立当初から「露語部」が設置されていたため、ロシア語の教育・研究には100年以上の歴史があります。言語の習得のほか、文学・芸術、政治・経済、文化・歴史を専門的に学び、国立サンクトペテルブルク大学、モスクワ国立言語大学などとの交換留学の制度があります。 上智大学外国語学部には、ロシア語学科のほか、英語、ドイツ語、フランス語、イスパニア語、ポルトガル語学科があります。ロシア語学科の3年生の学生たちに、「なぜロシア語学科に進学したのか」を聞いたところ、「未知の言語・文化を学びたかった」(春山卓斗さん)、「世界の民謡が好きで、そこからロシア語に興味を持った」(今井遥香さん)、「チェブラーシカ(ロシアの絵本に登場するキャラクター)が大好きだったから」(山田彩乃さん)、「ロシアの政治に興味があった」(長瀬泰河さん)などの答えが返ってきました。 今の3年生が大学受験をした時期は、ロシアがウクライナ侵攻を開始した時期と重なります。そうしたなかであえてロシア語を学ぼうと考えたのはなぜでしょうか。春山さんはこう話します。 「家族や高校、予備校の同期とロシア・ウクライナ問題などについて話すなかで、日本人からみたロシア人に対する固定観念に依存して、彼らのことを受け取ってしまうことに違和感がありました。彼らの母語であるロシア語を通して、ロシアという国、人々、文化を学べたらおもしろいだろうと考えました」