【米国株ウォッチ】EVメーカー「小鵬汽車」の納車台数が好調、積極的な海外展開にも注目
中国の高級電気自動車(EV)メーカーで、ニューヨーク証券取引所に上場する小鵬汽車(シャオペン)の11月における納車台数は3万895台で、前年同月比54%増、前月比29%増となった。同社はまた、今年11月末までに合計で15万3373台のEVを納車しており、これは前年比で26%の増加となっている。小鵬汽車の納車台数の増加率はライバル企業よりも高い。同じく中国のEVメーカーであるNIO(ニオ)の11月における納車台数は1万5493台で、前年比約29%増、理想汽車(リ・オート)は前年比19%増だった。 小鵬汽車の成長の大部分は、同社の新しいサブブランドであるMONAが牽引しているようだ。その最初のモデルであるMONA M03の11月における販売台数は1万台を超え、3カ月連続で1万台以上の販売台数を記録した。MONA M03の販売開始価格は約11万9800人民元(約247万円)で、小鵬汽車が展開する他のモデルよりも格安だ。テスラのModel 3やModel Yの約半額である。このほか、小鵬汽車が展開するセダン車、P7+の需要も旺盛で、販売開始後3週間の販売台数は7000台を超えた。 過去3年間における小鵬汽車株(ADR、ティッカーシンボル:XPEV)の年間パフォーマンスは、S&P500種株価指数と比べて変動が激しい。2021年の年間リターンは18%、2022年はマイナス80%、2023年は47%だった。 米国版記事執筆現在、小鵬汽車株は2024年における予想収益の約2倍で取引されている。これは不合理なバリュエーションではないが、同業のNIOや理想汽車のバリュエーションを上回っている。しかし、それでも予想収益の11倍で取引されているテスラ株のバリュエーションには遠く及ばない。 小鵬汽車株の再評価を後押しする要因はいくつかある。小鵬汽車は、自動運転と運転支援技術に関しては、中国のEV市場をリードしていると見られている。同社は、高精度3次元地図データ(HDマップ)や高価なLiDARに依存せずに動作する都市型先進運転支援システムを提供する唯一の中国自動車メーカーであると主張している。また、同社のシステムは比較的低コストで構築できるため、大量導入につながる可能性がある。 同社は2025年までに60カ国以上への進出を目指し、積極的な海外展開を進めている。10月にはアラブ首長国連邦(UAE)でG9とG6を正式に発表し、中東市場への参入を果たした。11月には英国市場にも参入する契約を結んでいる。同社の車両とその技術力は魅力的であり、参入する市場が拡大するにつれ、同社の収益と利益も大幅に増加する可能性がある。
Trefis Team