観光地・三国湊に伝わる「酒まんじゅう」と老舗の和菓子。滋味深き、歴史深き“甘い港まち”を歩く【福井県坂井市】
さて、そんなお話を聞きながら、出してもらったのが焼きたての酒まんじゅう。 甘酒の優しくて、あま~い香りが店中に満ちていきます。ほんわかとする、いい香り。 酒まんじゅうは、もち米と糀で甘酒をたて、甘酒の香りが出たところで小麦粉を加え発酵熟成させた種に練り上げた餡を包んで蒸しあげる。お店それぞれに違う焼印を押すことで、三国だけの酒まんじゅうの出来上がり。
甘酸っぱいような酒の風味と香り。焼印をつけるところで、しっとりとした生地に香ばしさも生まれます。餡のまた、まろやかなこと。そして、平べったくて大きい。さまざまな温泉街や観光地でも見かける酒まんじゅうとは、一線を画す美味しさです。 一口噛み締めるたびに、日常のささやかな幸せまで噛み締める、そんな心までふくれる味わいです。
ちなみにひんやりと夏季限定「水まんじゅう」もつるりと美味しかった。
朝イチに訪れましたが、地元の人がひっきりなしに酒まんじゅうを買いにやってきていました。そんな光景も微笑ましくて、その昔、地元の和菓子店に買いに行った光景がありありと思い浮かびました。 当日は他のお店が閉まっていたため行けませんでしたが、焼印も味わいも違う、三国湊の酒まんじゅうを食べ比べするのも楽しそうですね。
●SHOP INFO 酒万寿処 にしさか 住:福井県坂井市三国町北本町4-2-14 TEL:0776-82-0458 営:9:00~18:00 ※商品が売り切れ次第、閉店。 休:木曜
300余年の歴史深き『和菓子処 大和甘林堂』で鶯餅をいただく
日本伝統の和菓子といえば、やはり気になるのは代々伝わる老舗の味です。 次に訪ねたのは、創業享保4年という福井県の中でも群を抜く超老舗の『和菓子処 大和甘林堂(やまとかんりんどう)』。 その佇まいは三国湊のレトロな街並みに溶け込み、昔からの風情を連想させてくれました。 このお店が三国湊にあるのは、先ほどもお伝えしたとおり、北陸の門戸、北前船交易で賑わい、砂糖が運ばれてきていたからなんですね。