観光地・三国湊に伝わる「酒まんじゅう」と老舗の和菓子。滋味深き、歴史深き“甘い港まち”を歩く【福井県坂井市】
●昔、港町として栄えた福井県の観光地の一つ、三国湊。レトロな街を散策しながら、ここだけでしか味わえない和菓子店を巡りました。酒まんじゅうと、超老舗が作る名物の鶯餅、絶品ですよ。
せっかく旅に出るなら、まだ見たことのない面白い町、絶景、グルメに出会いたいーー。 歴史深き“甘い港まち”【福井県坂井市】の観光&グルメスポット そう思い立って出かけた旅先は、福井県坂井市。人が溢れる観光地とは違う、旅人を魅了する面白みのある町でした。この町にしかない景色、海鮮や甘いもの。のんびりとした風景が流れる中で、ふれ合う店主や町の人の飾らない笑顔が旅を色濃くしてくれます。 ここには、圧倒的な賑わいがあるわけではないけれど、昔から変わらぬいい空気が流れてるんですね。 家に帰ってきてから思い返すのは、そういうふんわりといい町の風情。 いい旅だった、また行きたい。そんな素直な感情が湧き上がる町。
さて、今回は坂井市のレトロな観光地、三国湊の町中にある和菓子屋さんを訪れました。楽しみにしていたんです、この町だけの、伝統の優しくて甘い和菓子たち。 名物である「酒まんじゅう」と、老舗『和菓子処 大和甘林堂』の「鶯餅」を、歴史を紐解きながらお伝えしましょう。
江戸時代から愛される三国湊の酒まんじゅう。名店『酒万寿処 にしさか』を尋ねた
三国湊は江戸時代、日本海交易の重要拠点として栄えていました。福井市の観光サイトによると、「大阪を経由して砂糖などの積荷を運んできた北前船の船頭たちが、三国湊に何日か停泊していた時に、地元の人達に酒万寿の製法を教えたとされている」そう。 こうしてできた酒まんじゅう、「ほっぺたがとんでいくほど美味しい」と評判になり、多くの「酒万寿や」ができたそうなんですね。 かつては多くの酒まんじゅうのお店が軒を連ねていたそうですが、今では3店舗に。そのうち、大正10年に創業した人気店『酒万寿処 にしさか』を訪れました。
暖簾をくぐると現れる、美味しそうな和菓子が並ぶショーケースに心が躍ります。
酒を使って作られる酒まんじゅうは、めでたい縁起のいいものと重宝がられ、結婚式や建前などで配られました。寿と書かれたショーケースには酒まんじゅうをいっぱい詰めて、結婚式などで配るときに使われたそう。酒まんじゅうは今でも結婚式の定番品として重宝されていて、この街ならではの風習が残っています。