OB会長の桑田真澄氏が「復部へ前向きな話ができている」と報告したPL学園野球部の復活は本当に可能なのか?
だが、桑田氏は、イチロー氏も受けた学生野球資格回復研修を受講しておらず、現状では「桑田総監督」は不可能だ。桑田氏は、プロアマの雪解けについて「一歩前進」と一定の評価を下しながらも、その研修制度さえ不要ではないか、という立場を主張している。 「プロアマと言っている場合ではない。一体であるべきだと思うし、自分自身も勉強している」との見解を示しており、不滅とも言える甲子園20勝投手の総監督就任もスンナリとはいかないのも確かである。 また桑田氏が折衝してきた相手は、PL教団のトップではなく、あくまでも教団関係者で、まだ最終決定権を持つトップとの面談は実現していない。関係者の一人は、「これまで完全シャットアウトだったものが、復部に向けて、どう進めて行くのがいいのか話し合いを始めましょうという段階ですからね。一歩前進と言えば、前進だが、ほんの少し動いただけ。甘くはないと思います。少子化の影響で学校経営に余裕がない状況ですから、復部しても壊れた寮を立て直すのも無理で昔のように有力選手を集めたりすることも難しいでしょう。やるとしても公立高校の野球部に毛がはえたようなものになるかも」と復部への様々な障害が残っていることを明かした。 それでも、OB会としては今年も「マスターズ甲子園」に向け、内外にアピールし復活へ向けた準備を進めて行く方針。並行して、どのような手続きを踏んで野球部の活動を再開していくのか対話を重ねていくことになる。 OB会総会の最後に参加メンバーは校歌を歌い上げた。高校野球ファンには、「逆転のPL」として語り継がれてきた名門は、最後まであきらめない野球が信条だった。「逆転のPL」を今度は「野球部復活」という形で見せてもらいたい。 (文責・山本智行/スポーツライター)