米メディアはマリナーズ入団菊池雄星の“ノーモア大谷翔平契約”に注目
元西武の菊池雄星(27)のポスティングシステムによるマリナーズへの移籍が決まり現地で入団会見。地元メディアは大々的にこのニュースを取り上げた。 地元紙のニュース・トリビューン紙は「なぜ他のチームは、菊池がサインしたマリナーズの『独特な』契約に勝つことができなかったのか」との見出しで、マリナーズが競り勝った裏事情を明らかにした。 記事は「スコット・ボラス氏(菊池の代理人)とジェリー・ディポトGMらにとって菊池との契約は、彼らが過去に結んだ契約の中でも異例なものの1つだ」と紹介。菊池が、3年4300万ドル(約47億3000万円)に加えて、4年目は菊池がオプションを持つ計5600万ドル(約61億6000万円)の契約で、この金額が西武に支払うポスティング額のベースになることが記された。また2021年のワールドシリーズの終了から3日目までに、チーム側が、年俸1650万ドル(約18億2000万円)で2022年から2025年までの4年契約を延長できるオプションを持っているという契約内容で、「菊池は、どう活躍するか次第で、3年、4年、もしくは7年をマリナーズで過ごすことができる」と伝えている。 その上で、「この異例の契約に、なぜ両サイドが合意したのかは、“野球界の今後の変化を考えてのものだ”とディポトGMは話している。菊池は90マイル(約145キロ)中盤、あるいは最速98マイル(約157キロ)に達するとされる速球と、鋭いスライダーを武器にマリナーズの開幕シリーズの先発の一角になるだろう。しかし、菊池サイドは、過去に米国へ移籍したことで、故障や手術に悩まされてきた日本人投手に照らし合わせて、明瞭な成長プランを望んだ」と、異例契約の裏事情を説明した。 過去に日本人投手のダルビッシュ有、松坂大輔、藤川球児、岩隈久志、そしてマリナーズが獲得に乗り出したエンゼルスの二刀流、大谷翔平がオフにトミー・ジョン手術を受けたことが紹介され、菊池も肩の故障で2010年の全試合と2013年の数試合を休み、「昨シーズンも同様の問題を抱えていたと伝えられている」と続けた。 それらの事情を考慮した異例の変則契約で、ボラス氏も、「日本人投手のメジャーリーグへの順応の仕方については調整が必要だ。マリナーズの考えの一部を我々は評価した」とコメントしている。 記事では、マリナーズが計画する菊池の起用法についても触れ、ディポトGMの「チームは菊池を有望株選手、マイナーリーグで長年育ててきた投手のように扱う。先発ローテーションで、菊池の登板を飛ばす必要はないかもしれないが、5回から6回ごとの先発のたび、1イニング、もしくは30球のみといった短い登板をすることになる」とのコメントが紹介された。 ボラス氏によると、菊池に興味を持った他のほとんどのチームが7年契約をオファー。菊池をローテーション投手として起用する考えで、1年目から160~170イニング、もしくはプレーオフ次第でそれ以上の登板を希望していたという。だが、マリナーズのオファー内容だけが他チームとは異なったものだったためボラス氏はシアトルを選択した。