メディアは新型コロナ報道への批判にどう向き合うべきか 本当に必要なのは「公表する情報の制限」ではない?
政府の新型コロナウイルス対策専門家分科会に「偏見・差別に関するワーキンググループ(WG)」が設置された。新型コロナ感染者やその家族への偏見や差別に対処するため、11月をめどに中間とりまとめを行う見通しだ。偏見や差別を考えるうえで、報道のあり方を巡る議論を避けることはできない一方でWGの構成員にメディア関係者の名前はない。それに対し、一部で疑問の声が上がった。権力を監視し、正確な情報を伝えるという役割を果たしながら、偏見や差別、そしてプライバシーにまつわる問題に対して、メディアはどう向き合うべきなのか。【BuzzFeed Japan/千葉 雄登】
立ち上げの経緯は
ワーキンググループ(WG)の事務局を務める内閣官房新型コロナ対策推進室の担当者によると、WGは急ぎ立ち上げたという側面があり、その段階で可能な人選を固めて発足させた。 人選に「メディア関係者を排除する意図はない」といい、日本新聞協会と日本民間放送連盟に、委員の派遣を要請したという。 「それぞれ、メディアを代表してという形ではなく、メディア業界の一翼を担う方としてご参加いただけないかとお願いしました。しかし、WGを早く立ち上げることを優先し、日程など調整がつかなかった面もあります」 「ただし、先方とのやりとりは継続しています。偏見、差別の問題はメディアの方のご協力なしに解決できる問題ではありません。WGを重ねていく中でお誘いし、ご協力をお願いしたいと考えています」 「WGでは、今後、実際に被害に遭われた方やメディア関係者の方をお呼びして、会合を開くことを予定しています」 新型コロナウイルス感染症対策専門家分科会メンバーで、偏見・差別に関するワーキンググループの副座長を務める東京大学の武藤香織教授は、WGへの思いを、BuzzFeedの取材にこう語っている。 「陽性者や感染者に関する個人情報の公表とその報道は、新型コロナのまん延防止に役立つものだけで十分ですよねという合意を得たい。私はこのワーキンググループに望みをかけています」