【イーロン・マスク】壮大すぎる夢追い人は救世主かペテン師か!?
突然の“日本消滅”発言や、ツイッター社の買収など、物議をかもす言動で注目を浴び続けるイーロン・マスク。テスラ社、スペースX社などを率い、世界一の資産をもつとされるビジネスマンは、はたして人類の救世主か、稀代のペテン師か……。さて、モーリーはいったいどう見ている!?
イーロン・マスクのビジネスマンとしての特徴は、ちょっと傍若無人で、自己主張やビジョンが非常に強いことです。“俺には見える”という感じで、公共との境目も曖昧。そういう意味では、トランプ元大統領に近い。彼も“俺には見える”という人。本人の中では一貫性があるので、好き嫌いがはっきり分かれます。ただ、トランプと違ってイーロンは、自分のことを好きでも嫌いでも構わない感じがある。専門家から尊敬されているのもトランプとは逆。科学的な知見のある人が支持していて、無知につけ込んでいるわけではありません。 イーロンは常に、ある特定の人たちの心の琴線を震わす音楽を奏でています。その旋律が“聴こえる俺”という感覚にし、わかる奴だけで世界を変えるんだと思わせる。オーケストラの音楽が止まるとパッと魔法が消え、また次の曲がかかるという具合です。そうしたある種のわかりやすさが、もし彼が鉄鋼王と呼ばれたカーネギーや、自動車を広めたヘンリー・フォードのような人物だったら……と思わせ、ゼロ金利下の余剰資金を集めてきたのが現状ではないでしょうか。 ただ、そこにどこか賢者めいた雰囲気を感じるのも確か。怪しいことをしている紳士たちが群がっているような、ダーティな感じはありません。正々堂々としていて、それが彼のカリスマの一部になっています。でも今後、普通の人と同じような、たとえばパワハラなどのスキャンダルが出ると、魔法が急に消えてしまうこともあるかもしれませんね。 ある種の経営者は、どこかの組織や団体から資金が流れていて、糸を引かれたパペットに見えたりします。その点、イーロンはパペットを動かすほう、パペットマスターです。これまでの歴史では、そういう人はあまり表に出ませんでした。ロスチャイルド家などの財閥や大金融が金持ちクラブで世界を動かして、大きな声を出す人はほとんどいない。パリス・ヒルトンのようなやんちゃ娘もたまに出ますが。かつての帝国主義や奴隷制度を利用して成り上がった、その末裔や貴族が今もたくさんいます。 イーロンの場合、もはや私利私欲ではなく、人類の命運を俺が握っていると本気で思っている節がある。そこが面白いし、ロックスター的。デヴィッド・ボウイや、初期のセックス・ピストルズですね。スキャンダラスなことをしても憎まれず、どうしたら愛されるかをよくわかっている。その点、フェイスブック(現メタ)のマーク・ザッカーバーグとの違いは明確です。彼はあくまで静かで、ビル・ゲイツと並ぶクラシックな金持ち。口喧嘩をするとボロが出るから、弁護士のアドバイスに従って動きます。 イーロンが裏で立ち回ったのかはわかりませんが、僕が「うわー、すごい」と思った場面があります。スペースXのロケットがISS(国際宇宙ステーション)にドッキングしたとき、通路に浮かぶ女性乗組員の髪がフワッとワカメみたいに広がりました。これを世界中の6歳の女の子が見て、どう感じたか。女性には理系は難しいという風潮をぶっ壊したようで、「イーロン、ありがとう」と思いましたね。彼は財や名声に囚われず、夢を実現するために必要な金を稼いでいるイメージ。アマゾンのジェフ・ベゾスやザッカーバーグが島を買ったり、ゲイツが人里離れたところに豪邸を建てたり、そういうことがセコいなと思えてしまう。 ちなみに自分がその域に達するには、いくらあればいいのか試算してみたことがあるんです。2億円ですね。資産が2億を超えたら、テレビの生放送で爆弾発言をして辞めさせられても、YouTubeの配信などで面白おかしくやれる。で、賛否両論の“否”を焚きつけまくる(笑)。だから僕の資産が2億を超えたら、急にキャラ変するかも。まあ、そうなるのは推定で数十年後ですけどね。