ユニリーバ、AIを活用したフレグランスの研究開発事業に1億ユーロを投資
ユニリーバ(UNILEVER)は、フレグランスのデザインと創作能力を発展させるために1億ユーロ(約158億円)を投資すると発表した。フレグランス事業の研究開発を内製化し、新たな人工知能(AI)を実用化する計画だ。これにより、シャワークリームやデオドラント、洗濯用洗剤などの商品に使用する香料の“デザインと洗練性”をよりコントロールできるようになるという。
同社は2005年に香料・フレグランス事業をスイス発の大手香料メーカーであるジボダンに売却して以来、社内に専門の研究開発チームを置いていない。これまでは国際的なフレグランスメゾンと提携してきたが、「今後は“ハイブリッド・モデル”を追求し、社内のスタッフがサプライヤーと共に働くことになる。社内のチームが商品に合った香りを調合し、“イノベーションの全てのステップ”に関わる」という。神経科学やAI、デジタル商品開発などの分野における自社の科学的専門知識を活用する予定だ。「一貫性のある手ごろな価格の商品をより迅速に提供できるよう、既存のパートナーとの協力も継続する」と述べる。
リチャード・スレーター(Richard Slater)=ユニリーバ R&D最高責任者は、「この投資の目的は、“最先端のフレグランスハウス”を築くことだ。自社でフレグランスを創作・開発するだけでなく、熟練の調香師を採用し、デジタル技術やAIを含む新たな能力を活用し、エンドユーザーにとっての“全体的な体験を高める”ことができるようになる」と話す。
同取り組みでは、科学とイノベーションの掛け合わせが鍵を握る。「神経科学の技術を用いて、フレグランスが気分にどのような影響を与えるかを理解し、感情的なウェルビーイング(たとえば自信など)を測定できるようにする。また社内で技術やノウハウを蓄積することにより、フレグランスのトレンドを見極めて商品のクリエイションや処方、デザイン、製造、市場への投入を迅速に進められるようになる」と述べる。すでに英国と米国、インドでは熟練した調香師の雇用を開始しており、AIを活用したフレグランスの創作や評価、測定、テスト、データ分析に注力するグローバルチームを拡大する計画だ。