廃棄を極力減らしたファクトリーブランド「TheContainerShop」の理念
シンプルな鞄づくりを目指す
ー生地の無駄をなくすということですが、仕入れる革のサイズにも特徴はありますか。 日本では、半裁という1頭分から取れる革の半分が基本です。そこから型紙をパズルのように当てはめていき、可能な限り無駄をなくす工夫をしています。また、傷がある部分は分けておいて、小物製作に使うようにしています。 傷物の場合は定価で売れないこともあり、お客様のご理解を得るために、ショールームやファミリーセールのみで提供し、実物を見て、納得してご購入いただいてます。
ー仕入れる革にこだわりはありますか。 カラーを指定して、オリジナルで新しい革を発注するということはしません。生地屋さんや革屋さんがストックしているサンプル帳から選ぶようにしています。 サンプル帳とはいえ、紹介しきれないほどのカラー展開があります。また、通常のロット素材を業者仲間と分け合うことで、いろいろなカラーに挑戦しやすく、経済的にもコストを抑えることができます。
ー鞄づくりの工程にも、無駄をなくす秘密があるのでしょうか。 基本的な工程については他社さんと違いはありませんが、差別化するならば、僕らは「作りやすさ」をひとつのコンセプトに掲げています。 ポケットをたくさん付けたり、特別な製法を用いたりはしません。素材の大きさや生地幅に合わせたデザインを常に考え、それに必要な裁断や型紙に意識を向けています。 極力シンプルなデザインにしている背景には、縫製工場に携わられている現場の方の高齢化や廃業の問題があります。できるだけ工程を省き、簡単な設計を心がけることで、持続可能な生産体制を確立できると考えています。 極端な例ですが、今後の生産背景においては初心者でも3ヶ月ほど訓練すれば、ある程度は形になる仕組みづくりが必要です。
ー工業用の資材を使った商品の特徴を教えてください。 最近では、ファッションアイテムでもPVCビニールが使われるようになりましたが、それらは劣化しやすく、耐久性が低いものになります。 それに対して、工業用のものは間仕切り資材としても使われていて、耐久性が高いのが特徴です。さらにUV加工や防虫加工も施されています。 UV加工のおかげで中のものが焼けにくいですし、防虫加工によってアウトドアにも向いているということで採用に至りました。鞄用に作られた素材ではないですが、長く使っていただけるものづくりの観点から非常におすすめできる商品となっています。