なぜ森保監督は“今”このタイミングでUー22代表に久保建英、堂安律らを招集したのか?
9月に幕を開けたアジア2次予選で、日本は3連勝を飾っている。11月シリーズはアジア2次予選がキルギス戦だけで、たとえば堂安が主戦場とする右サイドハーフでは伊東純也(KRCヘンク)が出色のプレーを演じ、10月のモンゴル代表戦では3アシストをマークしている。 堂安や久保、板倉、そして負傷中の冨安を欠いた陣容のフル代表に対して、森保監督は「外れる4人と同等な力を持っている選手、これまでも活躍を見せてくれている選手がいるので、チーム力が落ちるとは思っていない」と自信を寄せた。既存のU-22代表メンバーにフル代表組を融合させる、千載一遇のチャンスが今回だと判断したことが伝わってくる。 加えて、10月の遠征で王国ブラジルから逆転勝ちを収めたU-22代表はいま、自信に満ちあふれている。すべて豪快なミドルシュートで2得点をマークしたMF田中碧(川崎フロンターレ)、1得点のMF中山雄太(PECズヴォレ)らに堂安や久保らが融合すれば、どのような化学反応を起こすのか。 「アウェーの地で、絶対に勝たなければいけないブラジルに勝つのは簡単なことではない。継続してやってきたことが間違いなく成果として表れ、レベルアップにつながっていると毎回のU-22代表の活動を通して見させてもらっています」 会見で言葉を弾ませた森保監督はフル代表の指揮官を兼任して以来、東京五輪代表世代を指揮したのは、インドネシアで開催された昨夏のアジア競技大会の一度しかない。他はすべてフル代表の活動と重複してきたため、サンフレッチェ広島でも監督とヘッドコーチの二人三脚を組み、全幅の信頼を寄せていた横内昭展コーチに監督代行を託してきた。 一転して今回はキルギス戦を終えた後に慌ただしく帰国。16日にベネズエラ戦が行われる大阪ではなく広島に入り、かつて慣れ親しんだエディオンスタジアム広島でU-22コロンビア戦の指揮を執る。 「今回も私が活動初日からいるわけではないが、横内コーチを中心にいい準備をしてくれていると思うので、私は前日から合流して選手たちの成長を試合のなかで見るのを楽しみにしています」 東京五輪へ向けて、本格的なスタートが切られるのは11日。ヨーロッパ組も順次帰国および合流するなかで、14日にはサンフレッチェとの練習試合が組まれている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)