ネットでみかける“スゴイ”登山記録。あなたは、どう感じますか?
◆質問: これから登山を再開しようとする者です。登山のコミュニティサイトで登山記録を見ていたら、「単独」「冬山」「テント泊」「夜間出発」「長時間行動」、さらには、しっかりとした「登山届」は出してないようなことが書かれている記録を見ました。 その登山記録にコメントをしている人たちも似たようなスタイルで、雪訓をしてないのに冬のアルプスの森林限界上に出たり、アイゼンを忘れても行けるところまで登ったりと、部活なら先輩にドヤされて、反省会で吊るし上げられそうな記録が載っていました。コメント欄では誰もツッコミを入れず、逆に、お互いを「スゴイですね」と褒め合って、盛り上がっています。 「この調子だと、いつか大事故が起こりますよ」と苦言したいけど、私もブランクがあり、現役でバリバリに登っているわけでなく、そこまでする間柄でもないので、もやもやしています。私は頭が固い古い人間で、今の人はこんなものなのでしょうか? 今思うと部活で叱ってくれた先輩たちは厳しいけど愛があって、SNSは無責任なやさしい他人だなと、思ってしまいました。
◆回答: 「冬山」は、雪が登山道や指導標、ペンキのマーキングなど全てを覆い尽くし、ルートは自ら切り拓き、ラッセルして、寒気に耐え・・・必ず一定の訓練を受け、自分自身で多くの判断ができる者が挑むべき登山だとされてきました。さらに「単独」「テント泊」となると、経験や体力も相応に必要となります。 こういった登山記録を発表している登山者は、よほど普段から鍛錬して、登山技術をシッカリ習得している人達ばかりなのでしょうか? どうみても、そうは思えない。これって危なくないの? これが質問された方の心配のようです。それに、一歩も二歩も厳しそうな登山を、いとも簡単に行けたように書くのって、マズクないですか? そんな気持ちも垣間見えます。数ある登山記録のなかでも、ついつい、こんな“スゴイ”記録に目がいってしまいます。 まず、これらの登山記録は、「幸運にも、うまくいった登山の報告」と考えるべきでしょう。そして、コメントをする人も、この幸運なる挑戦者に「スゴイね!」と拍手を送る。コミュニティサイトでは、そういったやり取りがありがちです。