値下げ発表の「ahamo」に決めるのはまだ早い? 4大キャリアのスマホ料金新プランは、結局何が違うのか
2021年2月、大手携帯電話各社のオンライン専用格安料金プランが出そろった。 NTTドコモの「ahamo」・KDDIの「povo」・ソフトバンクの「LINEMO」各社新ブランドとも、申し込みやサポートはオンラインのみ、データ使用20GBまで・音声5分間かけ放題であれば月額2980円、ただしキャリアメールは使用不可という基本的なところは同じプランを提示した(※料金は発表当時。2021年3月1日、ah値下げを発表したahamoに決めるのはまだ早い? 4大キャリアのスマホ料金新プランは結局何が違うのか amoは2700円に値下げを発表)。4G/5Gとも利用可能(KDDIは夏頃からの予定)だという点も三社同様となっていた。 【写真】楽天モバイルの新料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」 そこに斬り込んできたのが「第4の大手携帯電話」楽天モバイルだ。新料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」は、「一律料金」ではなく「月間データ利用料ごとの段階料金」なのだが、その料金が非常にチャレンジングだ。 ・データ利用量1GB以下:0円 ・1GB~3GBの月980円 ・3GB~20GBの月1980円 ・20GB超利用量上限なし月2980円 (ただし、上限なしでの高速通信は楽天回線エリアのみ。パートナー回線エリアでは5GBまで。以降通信速度は1Mbpsに落ちる) 通話も「Rakuten Link」アプリを使えば0円。他社の格安プランにはない留守番電話もある。キャリアメールも今夏には使えるようになる予定だ。 「Rakuten UN-LIMIT VI」説明会資料によれば、日本のユーザーひと月当たりのデータ使用量は、2GBまでが49.5%、5GBまでが16.5%で、これらライトユーザーが全体の66%を占めるという。つまり、単純に考えれば日本のスマホユーザーの約3分の2は、先行3大キャリアより1980円で済む楽天モバイルを選ぶべき……と言いたいところだが懸念点もある。 筆者は、ケータイ3台持ちでそのうちの1台に楽天モバイルを使用しているのだが、体感としては、地方や地下街などでの電波のつかみやすさという点ではまだかなり厳しい。この状態では使う人を選ぶだろう。2台目以降のケータイとしては非常に安価に済むのでお勧めではある。 この夏目標で楽天モバイルの人口カバー率は96%程度。先行する3キャリアの4G LTEでの人口カバー率は99%超となっている。やはり通信回線の品質・入りやすさで言うと、大手3社にはなかなか敵わないというのが現実だ。 それともう一つ。「ライトユーザーが全体の66%」というのは今、現在の話。通信の5G化が進めばそうもいかなくなる。スピードテストをする程度でもあっという間にデータ容量を食う。恐らく一般のユーザーでも現在の数倍は余裕でデータ量を使うことになる。そのなかで限定的な5Gのエリアや、他エリアでの制限を考慮すると、楽天モバイルを第一候補に選ぶのは無理だろう。なにしろ、他の3キャリアが曲がりなりにもマップを描けるくらいになっても、楽天のそれは全国に数十箇所の点でしかないような感じなのだから。 ということを考えると「格安20GBプラン」のNTTドコモ「ahamo」・KDDI「povo」・ソフトバンク「LINEMO」を契約すべきユーザーの方が多いように思う。では、この似たような3つのプラン、どんなユーザーがどのサービスを選ぶべきだろうか。 自分が今までドコモ利用者だった場合、あるいは家族がドコモ回線の場合は、3月26日にスタートするNTTドコモの新料金プラン「ahamo」一択だろう。 というのも、ahamoの回線が家族割のメンバーとしてカウントされるためだ。ahamoの料金が値引きされることはないが、ギガホ、ギガライトなど同一家族の回線が回線数に応じて、月額料金を回線ごとに割引される。 また、ファミリー割引の適用でドコモからahamoへの通話は無料となる。ahamoでは5分間の通話無料かけ放題がついてくるのだが、それ以上の長電話には追加の料金がかかってくるので、一度ahamoからかけ、家族から折り返し……とすれば無料で通話することができるわけだ。少し面倒ではあるが家族間での通話が多い家庭では重宝すべき特典となる。 また、3月1日の発表にてドコモ・KDDI・ソフトバンクの格安プランから最も安いサービスを選ぶ場合もこれになる。というのも月額使用料を「2700円」に値下げしてきたからだ。KDDIの「povo」やソフトバンクの「LINEMO」は、5分以内通話無料を削った場合の料金として2480円を提示しているが、プラスすれば2980円となるため「ahamo」よりは高額となる。ただ、これに関して言えば、対抗上、他の事業者も値下げしてくる可能性はある。 電話料金の支払いにdカード利用で1GB、dカードゴールドで5GBデータ容量が追加されるのも、従来からのドコモユーザーには魅力だ。 なお、端末に関して、ahamoに関しては、対応機種72機種が全てすでに公表されている。これも安心材料だろう。 ソフトバンクの「LINEMO」。こちらは3月17日にサービス開始となる。 ベーシックな料金体系は、データ通信量20GB・2480円/月。ただし、LINEのトークとLINE電話(音声通話・ビデオ通話)がカウントフリーとなるので(特にLINEユーザーにとっては)事実上、3社の中ではギガ当たり最も安い単価になる。 LINEMOには、「ソフトバンク」「Y!モバイル」との家族割引の適用はないが、単身でLINEをよく使うユーザーにはうってつけのプランになるだろう。なにしろ、いくらLINEトークをいくら使っても、何時間LINE通話で話しても「ギガ」が減らないのだから。 また、夏からは、LINEスタンプ(クリエーターズスタンプ)が使い放題になるLINEMOスタンププレミアムベーシックコースを追加料金なしで利用可能になる。 料金オプションに関しては、5分間通話し放題が月額500円、時間制限のない通話定額は月額1500円でオプション追加可能だ。また、「通信量の追加チャージ」も1GBあたり500円で購入できる。 なお、LINEMOは、WebだけでなくLINEからも申し込みが可能。eSIMであれば即日開通も可能……なのだが、問題は、利用できる端末に関してだ。 LINEMOは利用できる端末は「Y!モバイル」で使えるものは使えるとしている。が、この夏にも不要になる予定とはしているものの、サービス開始から当面の間は、ソフトバンク⇒LINEMO、Yモバイル!⇒LINEMOへの乗り換えにはSIMロック解除が必要になる。ソフトバンクを使っていたからLINEMOのSIMを手に入れさえすればすぐ使える、というわけではないのだ。 SIMロックフリー機を持っていれば話は別だが、この辺りは使用に当たって注意が必要だ(LINEMOに合わせて今のうちに手持ちの端末をロック解除しておくのもいいかもしれない)。 3月23日にサービス開始が決まったKDDIの「povo」も、素のプランではデータ量20GB・月2480円だ。 月20GBのデータ転送以外のオプションは基本、「トッピング」と言って別途料金を払う構成となっており、たとえば、「5分以内通話かけ放題」月500円、「通話かけ放題」月1500円、「データ1日使い放題」24時間で200円などとなっている。 また、トッピングの種類は順次増やしていくとのことで、例として将来的には「2時間 ムービー見放題」「24時間 SNS使い放題」といったものも登場させたいとしている(が、時期等具体的になっていない辺り、見切り発車感がしないでもない)。 家族割などに関してはpovoは変則的で、原則的にはauの家族割や家族割プラスには含められない……はずが、「早期契約特典」として2021年夏までに契約した場合、家族割プラスのカウント対象人数には含められることとなった。つまり、povoの契約者本人の料金が安くなることはないものの、同居家族のau回線の料金は割引されることになる。ただし、家族間通話無料は対象外だ。ここはahamoのそれと混同しないよう気をつけないといけないだろう。 また、端末に関しては、端末のセット販売はサービス当初を行わない。au 4G LTE・5G対応端末であれば利用できる予定だが、こちらも、auやUQ mobileブランドで販売されているSIMロックのかかった端末での利用については「対応を検討中」となっているのが不安材料だ。 povoに関して言えば「データ1日使い放題・24時間で200円」トッピング辺りがキモだろう。povoにはテザリングの制限がない。たとえば、すでWi-Fiのない環境でテザリングを行ってPCで通信を行いたい日などに使えば非常に有効に使えるはずだ。この辺りを使いこなせるユーザーにはpovoはありがたい存在になるだろう。 ※記事中、価格は全て「税別」
大和哲