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倒産55年ぶり300件割れ

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帝国データバンク

5月の倒産件数は288件

2020年5月の全国企業倒産件数は288件となり、1964年7月以来55年10カ月ぶりに300件を下回った。また、現在の集計方法となった2000年以降としては最少を記録。倒産データとして歴史的な数値と言えるが、新型コロナウイルスにより倒産手続きが進められなくなる異常事態となっていたことが大きな要因だ。

前回の東京五輪の年に268件を記録

288件がどれほど少ないかを過去のデータから検証したい。まず、現在の倒産集計方法(法的整理のみ)となった2000年以降のデータを見ると、これまで最も少なかったのは2000年1月の354件。当時は、パソコンや携帯電話が急速に普及したほか、関連企業の株式上場が相次いだ「ITバブル」(1999年2月~2000年11月)と呼ばれた時期で、前後の月も件数は低調に推移していた。 一方、2000年以降で件数が最も多かったのは2009年6月の1294件。これは2008年秋に起きたリーマン・ショックによるもので、その影響の大きさから件数上位はすべて2008年と2009年の月になっている。  さらに、時代背景や集計方法は異なるものの、99年以前の帝国データバンクの倒産データを遡ると、月間倒産件数が最も少なかったのは前回の東京オリンピックが開催された1964年7月の268件となっている。以後、2020年4月まで300件を下回ることは無かったのだが、2020年5月、55年10カ月ぶりに300件を下回ったのだ。

いつかやってくる反動増

今年4月までの倒産件数は前年同月を8カ月連続で上回り、新型コロナ問題の前から増加基調にあったが、ここにきて突如、激減したことは新型コロナの影響にほかならない。そして、多くの人は、288件という数値結果に実体経済が反映されていないと感じているはずだ。  倒産件数がここまで激減した要因は、感染リスク回避に伴う裁判所や弁護士事務所の業務縮小(不急の申し立てを回避)、当該企業における意思決定や準備の遅れなどのほか、政府によるかつてない中小企業への支援策、金融機関による既存融資のリスケジュール、不渡り猶予等も影響していると考える。リーマン・ショックの時はみられなかったが、新型コロナは倒産手続きをも停止・抑制させてしまったわけだ。  当然、5月のように件数激減の状態が長期的に続くとは考え難い。どこかのタイミングで間違いなく反動が出るはずだ。東京都に限って見れば、東京アラートの発動で期待していた緊急事態宣言解除後の客足が戻らず、いよいよ事業存続に見切りを付ける経営者が続出。倒産・廃業に移行する見方もある。いつどこに落とし穴があるかわからない。企業の与信管理担当者にとっても経験したことのない混沌とした時代に入った。