【小倉大賞典】去りゆく師に捧げる惜別の激走! ハイペースが生んだテリトーリアルの好走
3番手から仕掛けを待つ冷静な騎乗
単勝オッズひと桁は4頭、小倉大賞典としては事前評価で上下差ある組み合わせだったが、結果は11番人気23.8倍のテリトーリアルが1番人気ボッケリーニをしのいだ。例年通り下馬評がアテにならない重賞だった。 【競馬永久保存版】単勝が一番儲かる馬券!?回収率UP ローリスク・ハイリターンな買い方(1/2) レースは逃げ馬トーラスジェミニが予想通り先手を主張、そこに愛知杯でハイペースを誘発したディアンドルが大外から勢いよく並びにいった。この挙動によってトーラスジェミニは競りかけられまいとペースを落とさず、前半のレースラップは12.5-11.3-11.6-11.3-11.3、1000m通過58.0、向正面で連続して11.3を踏む厳しいラップになった。 この2頭から離れた3番手にいたのが勝ったテリトーリアル。飛ばす2頭は必ず捕まえられるという確信があったのではないか。深追いはせず、射程圏に入れつつ後続を引きつけてレースを運んだ。 後半800mは11.6-11.7-11.7-12.5。4角でディアンドルがトーラスジェミニを捕らえ、残り200mまでラップが落ちず、厳しい流れでも後方待機の追い込みが決まりにくかった。これも3番手にいたテリトーリアルには幸いだった。同馬はラップが落ちた残り200m12.5でディアンドルを捕らえた。このタイミングも絶妙だった。もっと早く前に並んでいればボッケリーニに交わされた可能性は高い。 仕掛けのタイミングも絶妙だが、テリトーリアルのスタミナと持続力もすばらしい。追い込みが決まりにくいとはいえ、中団から鋭く伸びたボッケリーニは封じており、展開は決して味方していない。スローペースの中日新聞杯や中山金杯では切れ負けしたが、昨秋のオクトーバーSや福島記念のようにミドルペースで先行したときは強く、今回もその適性を発揮できた。所属するのは来週解散する西浦勝一厩舎。競馬の神様の粋な計らいだった。
蛯名騎手の気迫あふれるイン突き
来週に節目を迎えるというと、蛯名正義騎手もラストチャンスであわやJRA全10場重賞制覇かと思わせた。5着デンコウアンジュは中団後ろのインを追走、最後までインにこだわり、他馬が避けてガラ空きになった内側をきれいに抜け出した。 小倉芝2000mで行われた20年愛知杯、デンコウアンジュに乗った柴田善臣が仕掛けたイン突きを思わせる騎乗。蛯名騎手のイメージ通りの競馬だった。道中の流れが厳しかったか最後に力尽きたが、一旦抜け出した場面は胸が熱くなった。ベテランコンビの果敢な挑戦、賞賛に値する。 2着は1番人気のボッケリーニ。全兄のラブリーデイが5歳シーズンで一気に頂点まで駆けあがったように、この馬も重賞連続好走で本格化気配。1着馬とは外枠、馬場状態も手伝い終始外を回った分の差だろう。安定してレースの流れに乗れるようになっており、今後も充実期は続きそうだ。 3着は2番手から粘った12番人気ディアンドル。逃げて大敗を繰り返していたため、人気は急落していたが、小倉芝はこれで【1-1-1-0】。小回り平坦、中距離戦に適性がある馬で、今後も条件さえそろえば狙ってみたい。ただし、愛知杯のようにハイペースを誘発する馬でもあるので、狙う際は相手の取捨選択などに注意したい。 4着アールスターは昨夏小倉記念以来の小倉出走で好走した。勝負所でうまく馬場のいい外目から進路ができたものの、最後は伸びきれなかった。1800mはやや忙しい印象がある。