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世界が中国の「経済的恫喝」に屈しない為の知恵

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東洋経済オンライン

米中貿易戦争により幕を開けた、国家が地政学的な目的のために経済を手段として使う「地経学」の時代。 コロナウイルス危機で先が見えない霧の中にいる今、独立したグローバルなシンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)」の専門家が、コロナウイルス後の国際政治と世界経済の新たな潮流の兆しをいち早く見つけ、その地政学的かつ地経学的重要性を考察し、日本の国益と戦略にとっての意味合いを、順次配信していく。

■増加する中国の経済的恫喝  中国が、その経済力を使い地政学的な目標を追求する動きは強まっている。劉暁波(Liu Xiao Bo)氏へのノーベル平和賞授与に対するノルウェーからの鮭の購入停止、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件に対する日本へのレアアースの輸出制限、スカボロー礁領有権主張に対するフィリピンからのバナナ輸入の制限、THAAD(終末高高度迎撃ミサイルシステム)配備に対する韓国への観光の制限、そして新型コロナウイルスの発生源の独立調査の提案に対する豪州からの牛肉・大麦の輸入制限と観光の制限など、中国による「経済的恫喝」(economic coercion)の事例は枚挙にいとまがない。

 世界第1位の人口と第2位の経済規模を有し、かつ共産党が国民や企業活動を管理する中国は、「経済的恫喝」を使いやすい環境にある。地政学的目的を達成するために経済的手段を活用することを「地経学」と呼ぶが、「経済的恫喝」は「地経学」の一形態である。  「経済的恫喝」は、①行使国に対する対象国の経済依存度が高く、②行使国に比較し対象国の経済規模が小さいほど、効果を発揮する。各国の輸出額に占める中国向けの比率を見ると、フィリピン13%、日本20%、韓国は25%以上、豪州は30%以上となっている。

 こうした中国の「経済的恫喝」に屈しないためには、どうしたらいいか。3つのことを考える必要がある。  1つ目は、WTOを含めた国際ルールの強化である。WTOルール(GATT第21条)は自由貿易の原則に対する安全保障の例外を規定し、アメリカ等は、安全保障を理由とした例外措置は援用する当該国の判断が最終的でWTOの紛争解決手続きの管轄に服さないと主張してきた。  幸い、2019年春にロシアとウクライナが争った事案において、パネル(紛争処理委員会)は安全保障の例外も無制限ではなくパネルの管轄に服すとの判断を示したが、安全保障の例外を含めて、貿易に関連した「経済的恫喝」を効果的に縛るためにはWTOルールのさらなる強化が望ましい。また、現行のWTOルールでは(公的補助金の定義が狭く)補助金を用いた中国の略奪的貿易慣行を効果的に防げていないといった問題もある。

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