台湾で注目される文学賞をエッセイ漫画『私だけ年を取っているみたいだ。ヤングケアラーの再生日記』が受賞!
2022年に刊行されたコミックエッセイ『私だけ年を取っているみたいだ。ヤングケアラーの再生日記』が、台湾の文学賞を受賞しました。 【画像】『私だけ年を取っているみたいだ。ヤングケアラーの再生日記』の著者・水谷緑さん。
ヤングケアラー再生の物語
台湾を拠点とする書籍レビュー専門のNPO「Openbook」が主催する「2024 Openbook好書獎」のヤングアダルト図書・児童書部門(年度青少年圖書)を水谷緑さん『私だけ年を取っているみたいだ。ヤングケアラーの再生日記(為了這個家,我殺了我自己:兒少照顧者的重生日記)』が受賞いたしました! 本作は、幼稚園の頃から家族の世話を一手に担ってきた主人公が、悩みにぶつかりながらも失われていた感情を取り戻すまでの再生の物語です。 「Openbook」の前身は28年の歴史を持つ中國時報「開卷」(出所:中央社)で、非常に専門的な書評団体です。「Openbook好書獎」は2017年に創設され、ヤングアダルト図書・児童書部門では『私だけ年を取っているみたいだ。』が日本語漫画として初受賞となります。 受賞作の発表は11月29日、授賞式は12月7日に台北市の西門紅樓二樓劇場で行われるとのことです。
著者・水谷緑さんコメント
この度は栄えある賞をありがとうございました。選考委員の皆様ありがとうございます。そして読者の方たちにも感謝致します。 国境を越えて受け入れてくださったこと、とてもとても嬉しいです。 重い内容だったかと思うのですが、台湾の方々がどのような感想を持たれたのかとても気になります。 最初は、あまり共感されないのではないかと思っていましたが、日本では、意外と「自分と似ている」「ここまでひどくはないけど子どもの頃放置されていた」「親が離婚して、片親に気を遣い、自分がしたいことは主張しなかった」などの感想がありました。 環境の違いはあれ、親に合わせて自分がしたいことを抑え込むのは、多くの子どもが経験しているのかなと感じました。今も、教育虐待や、スマホの育児への影響などで、違った形で、自分の意志が育たない子どもが増えている気がします。 大人が大人の責任を全うし、子どもがのびのびと遊び、希望を持てる世界になりますように。 一緒にこの本を作ってくださった編集者さん、そして取材させていただいた当事者、医療者の方々、支えてくれた家族にも感謝します。 この度はありがとうございました。 水谷 緑(みずたに・みどり) 神奈川県生まれ、東京在住。2014年に『あたふた研修医やってます。』(KADOKAWA)でデビュー。本書『私だけ年を取っているみたいだ。』のほか、主な著書に『こころのナース夜野さん』(小学館)、『精神科ナースになったわけ』(イースト・プレス)、『まどか26歳、研修医やってます! 』、『コミュ障は治らなくても大丈夫』(共著、KADOKAWA)、『僕は春をひさぐ~女風セラピストの日常~』(講談社)がある。「週刊スピリッツ」で『山人が語る不思議な話 山怪朱』を連載中。
ライフスタイル出版部